現場周辺では10月上旬、中国の貨物船2隻が武装グループに襲撃され船員13人が殺害される事件が発生。事件後、中国の提唱で、流域の中国、ミャンマー、ラオス、タイの4カ国が連携し、中国雲南省関累港とタイ北部チェンセン港の間で水上パトロールを行う枠組みが設けられ、10日から共同警備が始まったところだった。10日に関累を出航した中国の貨物船10隻は巡視艇に護衛されメコン川を下り、11日、タイ北部のチェンセン港に無事到着した。
10月の貨物船襲撃事件についてタイ政府は当初、チェンセンでタイ軍兵士が2隻を強制捜索し、船内で麻薬容疑の中国人1人を射殺、覚せい剤92万錠を押収したと発表したが、その後、貨物船の船員12人の遺体がチェンセン港に流れつき、「捜索」に加わったとされるタイ兵9人が殺人などの容疑で逮捕される事態に発展した。事件が起きた一帯は「ゴールデントライアングル」と呼ばれる麻薬生産・流通の一大拠点で、襲撃事件の背後には麻薬業者とタイ軍の癒着があるという見方もある。

チェンセン港(写真提供、タイ警察)

11日にチェンセンで行われた共同警備の開始式典(写真提供、タイ警察)