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タイの最低賃金、4月から4割引き上げ

2012年4月2日(月) 13時45分(タイ時間)
【タイ】タイ政府は4月1日から、法定最低賃金を約40%引き上げた。日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、バンコクの最低賃金はハノイ、ホーチミンの倍、北京に迫る水準となった。大幅な引き上げは消費拡大による景気刺激と貧富の差の是正が狙いだが、国際競争力の低下や物価上昇が懸念されている。

 バンコク都と首都圏のパトゥムタニ県、ノンタブリ県、サムットサコン県、ナコンパトム県、サムットプラカン県、南部プーケット県の1都6県では最低賃金が1日300バーツに引き上げられた。引き上げ前はバンコク215バーツ、プーケット221バーツで、上げ幅は40%近くになる。

 それ以外の70県では最低賃金が40%引き上げられた。引き上げ前の最低賃金が159バーツと最も低かった北部パヤオ県は223バーツになった。政府は2013年4月に再度の引き上げを行い、最低賃金を全県一律で300バーツとする方針。

 ジェトロによると、今回の引き上げで、バンコクの最低賃金は月20日労働で月額190ドルとなった。アジアの主要都市の最低賃金はダッカ40ドル、プノンペン55ドル、ビエンチャン78ドル、ハノイ、ホーチミン95ドル、ニューデリー98ドル、マニラ153ドル、ジャカルタ167ドル、大連166ドル、北京199ドル、上海203ドル、広州206ドル——。

 昨年8月に発足したタイの現政権は選挙公約である最低賃金の全国一律300バーツへの引き上げを今年1月から実施する方針だったが、産業界が強く反発した上、昨年後半にタイ中部を襲った大洪水で多数の工場が被災したことから、引き上げ時期を4月にずらした。政府は最低賃金の引き上げに合わせ、現行30%の法人税率を2012年に23%、2013年に20%に引き下げる方針だ。

 ジェトロが3月に在タイ日系企業を対象に行なったアンケート調査によると、製造業(回答44社)の生産・事業運営コストに占める労務費の比率は3月までが平均17・9%、4月以降22・5%で、労務費の上昇率は25・7%に上った。非製造業(回答15社)の平均労務費比率は3月までが31・3%、4月以降が34・7%だった。

 最低賃金の上昇が営業利益に「マイナスに影響する」と回答した製造業は94・3%に上り、営業利益減少率は回答した47社の平均で15・2%だった。

 労務費上昇への製造業(回答66社)の対応は「効率化・自動化投資を実施」(59・1%)、「人員規模の縮小」(37・9%)、「販売価格への転嫁」(28・8%)が多く、「日本人駐在員の縮減」(10・6%)、「一部ラインの周辺国への移管」(9・1%)もあった。

 ジェトロは今回の最低賃金引き上げについて、労働力、労働コスト面でタイの魅力が薄れ、国内生産品が安価な輸入品に取って代わられたり、事業閉鎖、他国への移転などで雇用が喪失する危険を指摘。また、最低賃金が全国一律となることで、企業にとって地方進出によるコスト低減のメリットが失われ、地方の工業化が足踏みする恐れがあると警告した。
《newsclip》


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