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和解の第一歩? インラク首相、タイ正月祝賀でプレム議長宅訪問

2012年4月26日(木) 20時07分(タイ時間)
【タイ】インラク首相(44)は26日、プミポン国王(84)側近のプレム枢密院議長(元首相・元陸軍司令官、91)のバンコク都内の自宅を訪れ、タイ正月の祝賀のあいさつを行った。プレム議長はタクシン元首相派の一部が反タクシン派の黒幕とみなす人物で、タクシン氏(62)の妹のインラク首相によるプレム邸訪問は両派の休戦・和解に向けたシグナルと受け取られている。

 インラク首相は王党派が好むピンク色の上着を着用。一方のプレム議長は赤がシンボルカラーのタクシン派に配慮したのか、定番のピンクもしくは黄色(プミポン国王の誕生日の色)の服ではなく、オレンジ色の上着で首相一行を出迎えた。

 首相はヨンユット副首相兼内相(元内務次官)、キティラット副首相兼財務相(元タイ証券取引所所長)、ユタサク副首相(元国防次官)とプレム邸に入り、副首相3人は約15分後に退室した。首相が外に出たのはその約30分後だった。

 首相のプレム邸訪問について、タクシン政権を追放した2006年のクーデター後、暫定政権の首相を務めたスラユット枢密顧問官(元陸軍司令官)は「(両派の和解に向けた)スタート地点かどうかは知らないが、タイの新年に伝統にもとづいた行動を取るのは良いことだ」とコメントした。

 インラク政権でタクシン派与党プアタイと連立を組むチャートタイパタナー党の実質的な党首であるバンハーン元首相は「子どもが大人にあいさつに行くのが最も良いこと」と述べ、両派の和解に期待を示した。
 
 タイ国立マヒドン大学平和構築研究所のゴートム所長は「目上の人に敬意を示すのは良いことだ。多くの人がこれを前向けに受け止めれば、状況は好転するだろう」と述べる一方、「一部の人は上の方だけ和解し、(タクシン派を支える)草の根は捨てられたと考えるかもしれない」と指摘した。
 
 タイでは過去数年、地方住民、中低所得者が多いタクシン派と特権階級を中心とする反タクシン派の抗争が続き、政治・社会が混乱している。反タクシン派はタクシン氏を反王室、腐敗政治家と糾弾し、2006年のクーデターでタクシン政権を追放。タクシン派は特権階級が軍官財界を動かし民主主義や法治をねじまげているとして、2009年、2010年と反タクシン派政権打倒のデモを行った。2010年のデモでは治安部隊との衝突で、市民、兵士ら91人が死亡、1400人以上が負傷した。

〈プレム・ティンスラーノン〉
 1920年、南部ソンクラー生まれ。1978—1980年陸軍司令官。1980—1988年首相。プレム政権は非議員のプレム氏が特権階級や軍の威光を背景に首相を務める変則的な政治体制で、「半分の民主主義」と呼ばれた。プミポン国王の信頼があつく、1988年の首相退任時に枢密顧問官に任命されるとともに、「ラタブルット(国家功労者)」の称号を受けた。1998年から枢密院議長。
 政財官界に極めて強い影響力を持つ。年末年始やタイ正月、自身の誕生日前後には毎年、現役の軍・警察の最高幹部が祝賀に訪れることから、軍の最終的な人事権はプレム議長が握っているという見方がある。
 結婚したことはなく、最近は公の場に若い男性にエスコートされ登場することが多い。
《newsclip》