男性は2010年5月に当時のアピシット首相の私設秘書に王室を批判するショートメッセージを携帯電話で4回送信したとされ、同年8月に逮捕された。一審のタイ刑事裁判所は昨年11月、男性に対し、送信1回につき5年、計20年の実刑判決を言い渡した。男性は逮捕以来、数度の保釈申請が全て却下され、今月8日、刑務所内の病院で肝臓がんで死亡した。
不敬罪はタイ国王夫妻と王位継承者への批判を禁じたもので、違反した場合、1件につき最長15年の懲役刑が科される。特権階級を中心とする反タクシン派と反王室のイメージが強いタクシン派の政治抗争が激化する中、不敬罪は頻繁に適用されるようになり、今年2月にも、タクシン派集会で王室を批判したとして、タイ人男性(70)に懲役7年6カ月の実刑判決が下った。
不敬罪については、タイ国内の一部学識者やタクシン派市民団体に加え、米国務省、国連なども批判的な見解を示している。ただ、タイ軍幹部や反タクシン派野党、王党派団体は同法の改正・廃止に強く反対、タクシン派与党は及び腰で、国会で議論が深まる様子はない。



