不敬罪はタイ国王夫妻と王位継承者への批判を禁じたもので、違反した場合、1件につき最長15年の懲役刑が科される。特権階級を中心とする反タクシン派と反王室のイメージが強いタクシン派の政治抗争が激化する中、不敬罪は頻繁に適用されるようになり、主にタクシン派市民の投獄が相次いでいる。今月8日には不敬罪で服役中のタイ人男性(61)が獄死し、大きな波紋を呼んだ。
死亡した男性は2010年5月に当時のアピシット首相の私設秘書に王室を批判するショートメッセージを携帯電話で4回送信したとされ、同年8月に逮捕された。一審のタイ刑事裁判所は昨年11月、男性に対し、送信1回につき5年、計20年の実刑判決を言い渡した。男性は逮捕以来、保釈申請が全て却下され、刑務所内の病院で死亡した。
不敬罪で逮捕された容疑者は保釈がほとんど認められず、裁判中もこう留されるケースが多い。タイでは殺人などの重罪容疑でも保釈が認められることがあり、不敬罪に対する裁判所の対応は異例として、人権団体などが批判している。

ジャトゥポン議員(右から2人目)