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タクシン氏免罪法案めぐりタイ国会大荒れ 中でもみあい、外で抗議集会

2012年5月30日(水) 18時00分(タイ時間)
【タイ】タイ国会は30日、タクシン元首相に対する実刑判決の無効化などを含む「国家和解法案」の審議入りをめぐり、国会議事堂の内外で大荒れとなった。

 「和解法案」は下院の国家和解検討委員会(委員長、ソンティ・ブンヤラカリン元陸軍司令官)がとりまとめ、24日に下院に提出した。ほかにタクシン派与党プアタイの下院議員らが似た内容の3法案を出し、全部で4法案が審議される見通しとなっている。

 与党は30日の下院本会議で、4法案を緊急議題として31日の審議入りを図ったが、ソムサック下院議長が緊急議題の是非を問う採決を強行したところ、これに反発した野党民主党の男性議員が議長に詰め寄り、腕をつかんで椅子から引きずり降ろそうとした。保安要員が間に入り、この議員は引き離されたが、議長席の周囲で与野党の議員がにらみ合う事態となったため、ソムサック議長は休憩を宣言し、議場の外に出た。これを見た民主党の女性議員が議長の椅子を持ち上げて議場の外に放り出し、この議員にプアタイの女性議員がつかみかかった。

 タイのテレビのニュース番組は30日の騒ぎを「タイの国会でかつてなかったこと」と報じた。

 一方、国会議事堂の外では、2008年にスワンナプーム空港などを占拠した反タクシン派団体「民主主義のための市民同盟(PAD)」が「和解法案」反対のデモを開始し、数千人が議事堂前に集結した。治安当局はデモ隊の進入を防ぐため、国会議事堂の正門を閉じ、周辺の一部道路を封鎖した。

 デモを指揮したPAD創設者で実業家のソンティ・リムトーンクーン氏は街宣車の上で演説し、タクシン氏の帰国をあらゆる手段で阻止すると宣言。「和解法案」を提出したソンティ元司令官、PADが要求しているクーデターによる現政権転覆に応じないプラユット陸軍司令官らを批判した。

 ソンティ元司令官が提出した法案の骨子は(1)2005年9月15日—2011年5月10日に起きた政治集会や政治的な意見表明による法律違反と、政府によるこれらの取り締まりに際した法律違法について、全ての刑事責任追及を中止し、すでに出た判決を無効とする(2)2006—2007年の軍事政権が設置した組織による司法案件の刑罰を無効とする(3)役員を務める政党の解党で5年間の参政権停止処分を受けた政治家全員の参政権回復——の3点。

 タクシン氏は国外滞在中の2008年、首相在任中に当時の妻が国有地を競売で購入したことで懲役2年の実刑判決を受け、その後は投獄を避けるため、タイに帰国せず、主にドバイに滞在している。2010年2月には一族の資産約470億バーツが不正蓄財として国庫に没収され、これをきっかけに、3—5月のタクシン派市民によるバンコク都心部の占拠、死者91人、負傷者1400人以上を出した治安部隊との衝突に発展した。タクシン氏への実刑判決と資産没収はいずれも軍政が設置した組織による調査の結果で、和解法が施行されれば、(2)により、無罪放免、資産返還となる見通しだ。(1)に関しては、不敬罪も対象になる可能性があり、その場合、不敬罪で逮捕、投獄されたタクシン派市民が出獄することになる。

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《newsclip》


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