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デモ隊VS警官隊、与党VS憲法裁 タイ政争一気に加熱

2012年6月4日(月) 00時00分(タイ時間)
【タイ】一時休戦状態となっていたタクシン元首相派と反タクシン派の抗争がタクシン氏に対する実刑判決の無効化などを含む「国家和解法案」の国会提出を機に一気に再燃した。

 下院で多数を占めるタクシン派は国家和解法案でタクシン氏の免罪と帰国、憲法改正で反タクシン派の政治・司法への影響力排除を画策し、ミャンマーの民主化運動指導者アウン・サン・スー・チー氏のタイ訪問(5月29日—6月3日)とバンコクでの世界経済フォーラム(WEF)東アジア会議開催(5月31日—6月1日)に合わせ、どさくさに紛れて和解法案の国会審議入りを図った。しかし、反タクシン派の野党民主党の反発で議場内が乱闘寸前となる一方、国会議事堂周辺では1日、「民主主義のための市民同盟(PAD)」など反タクシンの王党派団体が警官隊と衝突し、国会前の道路を封鎖した。

 一方、憲法裁判所は1日、任命制上院議員や民主党下院議員らの訴えを受け、新憲法案を起草する憲法起草議会を設立するための憲法291条改正案の国会審議を憲法裁が違憲かどうかの判断を下すまで中止するよう命じた。291条改正案の国会審議は第3読会の採決直前だった。

 こうした逆風を受け、ソムサック下院議長は2日、5—7日に予定していた和解法案と憲法291条改正案の国会審議延期を決めた。

 国外逃亡中のタクシン氏は2日、バンコク郊外で行われたタクシン派集会にビデオ電話で参加し、憲法裁の命令はタクシン派インラク政権の転覆を狙ったものだと主張。反タクシン派が法治の枠外でしゅん動し、両派の和解は困難になったという見方を示した。また、初代タクシン派政党タイラックタイのジャトゥロン元党首代行は同日、憲法裁の命令は権限の範囲外で手続き上も明白に違憲だとして、「憲法裁による憲法違反」と批判した。

 インラク政権は1日、2日に首都警察の司令官と副司令官を更迭した。反タクシン派デモ隊に道路封鎖を許したことによる懲罰人事とみられている。

 タイでは2006年以降、地方住民、中低所得者が多いタクシン派と特権階級を中心とする反タクシン派の抗争が続き、政治・社会が混乱している。反タクシン派はタクシン氏を反王室、腐敗政治家と糾弾。一方のタクシン派は特権階級が軍官財界を動かし民主主義や法治をねじまげていると主張している。激しい政争の中、2006年、2008年には反タクシン派、2009年、2010年にはタクシン派による大規模なデモがあり、2010年にはデモ隊と治安部隊の衝突で、市民、兵士ら91人が死亡、1400人以上が負傷した。

 タクシン派の強みは選挙で、下院総選挙では2001年、2005年、2007年、2011年と4連勝中だ。

 一方の反タクシン派は2006年に軍事クーデター、2008年にタクシン派政党の解党を命じた司法判断で政権を奪還した。司法は2006年以降、タクシン派が勝利した2006年総選挙の無効化、タクシン派政党の2度にわたる解党、タクシン派首相の事実上の解任など、一貫してタクシン派に不利な判決を下している。こうしたことから、タクシン派内部には、反タクシン派が国際的に批判を受ける軍事クーデターの代わりに、裁判所を使った「司法クーデター」でタクシン派潰しを図っているという見方がある。

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《newsclip》


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