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タイ憲法裁が改憲容認、タクシン派との衝突回避

2012年7月13日(金) 13時57分(タイ時間)
【タイ】政権与党プアタイなどタクシン元首相派が国会で進める憲法改正の動きに対し、反タクシン派の野党民主党などが「改憲は立憲君主制の転覆を狙った違憲なものだ」などとして、憲法裁判所に改憲の国会審議中止とプアタイの解党を求めた裁判で、憲法裁は13日、改憲自体は合憲で、立憲君主制の転覆が狙いという訴えは証拠が不十分だとして、訴えを退けた。タクシン派との対立が目立った憲法裁がこうした判断を下したことで、政局が一気に不安定化する危険は回避された。ただ、憲法裁は「新憲法の制定には国民投票が必要」と釘を差しており、改憲の方法、行程については国会で再度審議される見通しだ。

 タイの裁判所はタクシン派と反タクシン派の抗争が激化した2006年以降、タクシン派が勝利した2006年下院総選挙の無効化、タクシン派政党の2度にわたる解党、タクシン派首相の事実上の解任など、一貫してタクシン派に不利な判決を下してきた。特に憲法裁は強引ともいえる憲法解釈が目立ち、タクシン派市民の間で司法への不信が強まっていた。こうした経緯から、今回も憲法裁がタクシン派に不利な判決を下し、タクシン派市民のデモなどで政情が不安定化するという懸念が出ていた。タクシン派市民団体は判決前、改憲禁止、プアタイ解党となれば、数十万人規模の反対集会を開くと警告。プアタイの下院議員は「内戦がぼっ発する」「憲法裁判事はタクシン派市民に逮捕されるだろう」などと、脅しとも取れる発言をしていた。

 タイの現行憲法は2006年の軍事クーデターでタクシン政権を追放した反タクシン派が制定したもので、任命制の上院議員、憲法裁、選挙委員会などを通じ、反タクシン派が政治介入しやすい仕組みになっている。タクシン派は改憲による反タクシン派の司法・政治への影響力排除を狙い、新憲法案を起草する憲法起草議会を設立するための憲法291条改正案を国会に提出したが、同改正案は第3読会の採決直前の6月1日、違憲かどうかの判断を下すまで審議を中止するよう憲法裁が命じ、改憲の動きは暗礁に乗り上げていた。

 タイでは過去数年、地方住民、中低所得者が多いタクシン派と特権階級を中心とする反タクシン派の抗争が続き、政治・社会が混乱している。反タクシン派はタクシン氏を反王室、腐敗政治家と糾弾。一方のタクシン派は特権階級が軍官財界を動かし民主主義や法治をねじまげていると主張している。タクシン派は2006年のクーデターと同派解党を命じた2008年の司法判断で、2度、政権を追われたが、総選挙では2001年、2005年、2007年、2011年と4連勝中だ。激しい政争の中、2006年、2008年には反タクシン派、2009年、2010年にはタクシン派による大規模なデモがあり、2010年にはデモ隊と治安部隊の衝突で、市民、兵士ら91人が死亡、1400人以上が負傷した。
《newsclip》


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