3日午前5時30分ごろ、バンコク都内スクムビット通りのソイ47付近で、バイクでパトロール中の男性警官(48)が黒いフェラーリのスポーツカーにはねられ、約200メートル引きずられて死亡した。フェラーリは現場から走り去った。
フェラーリから流れ出たとみられるオイル跡がスクムビット・ソイ53通りのユーウィタヤー邸まで続いていたことから、警官がユーウィタヤー邸に入ろうとしたが、邸の警備員に阻止された。
午前7時ごろ、バンコク首都警察と所轄のトンロー署の幹部がユーウィタヤー邸に入り、しばらくして出てきて、「(チャリアウさんの息子で家の主の)チャルーム・ユーウィタヤーさんはいなかった。フェラーリを運転していた人を警察に出頭させるよう、家にいた人に伝えた」と述べた。
午前8時ごろ、今度はバンコク首都警察のカムロンウィット司令官が直々にユーウィタヤー邸を訪れた。カムロンウィット司令官はユーウィタヤー邸を離れる際に、記者団に対し、「相手がどんな大物でも関心がない。真犯人を捕まえられないなら辞任する」と言い放ち、周辺にいた警官から喝采を浴びた。
午前10時ごろ、チャルームさんの息子のウォラユット・ユーウィタヤー容疑者(27、通称ボス)が邸を出てトンロー署に出頭し、危険運転致死などの疑いで逮捕された。容疑者は取り調べに対し、警官をはねたことを認め、保釈保証金50万バーツで保釈された。ウォラユット容疑者は飲酒運転を否定したが、帰宅後、気を静めるために酒を飲んだと話しているという。
ウォラユット容疑者が出頭する前に、ユーウィタヤー邸の自動車整備係の男性(45)が「自分がフェラーリを運転していた」と名乗り出たが、状況説明が出来なかったことから、警察は虚偽と判断。男性を犯人に仕立てる工作に関与した疑いがあるとして、トンロー署の幹部警官が首都警察付に異動処分を受けた。
米経済誌フォーブスの2012年版のタイの富豪リストによると、ユーウィタヤー家の資産は54億ドルで、タイ4位、世界205位。ウォラユット容疑者の父のチャルームさん(62)はレッドブルの株式2%を所有するほか、ワイナリーも経営し、資産総額は2・5億ドル。

事故を起こしたフェラーリ

ウォラユット・ユーウィタヤー容疑者
