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〈タイ業界事情〉 交通渋滞情報配信システム

2013年2月4日(月) 18時04分(タイ時間)

 Toyota Tsusho Electronics (Thailand) Co., Ltd.
伊藤 秀哉 氏 (President & CEO 写真中央)
Dr. Itti Rittaporn (イッティ リッターポン General Manager Content・EV Department 写真右)
塚原 徹也 氏 (Senior Manager Software Sales Department 写真左)

 効率良いアポ取りやスムーズな移動を心がけていても、渋滞のことを考えると無駄とも思える時間を確保しがちなバンコクでのビジネス。程度のこそはあれ、バンコクの渋滞は昔も今も変わることはない。IT(情報技術)が進む中、スマートフォンなどの端末に渋滞情報を配信するサービスが出始め、バンコクでも使われるようになってきた。渋滞情報の要は「精度」だ。肝心なときに情報が間違っていると、例え無料サービスであっても不満を感じ、ストレスをためることになる。弊社が開発したシステムの最たる特徴は精度の高さだ。スマホなどの端末にとどまらず、来年からは車載機ナビゲータにも情報を配信していく。

精度に欠けるこれまでのシステム

 日本からタイ、特にバンコクに来てまず感じるのが、赤信号の長さだろう。日本では考えられない5分以上の待ち時間も普通だ。雨期で通勤や帰宅のラッシュ時に雨に降られると、渋滞が途端に悪化することにも驚く。自分自身もタイ赴任早々、渋滞に巻き込まれて約束に間に合わず、高架鉄道(BTS)とバイクタクシーを乗り継いでアポ先に駆けつけた経験を持つ。日本人にとって、日々の渋滞は遅刻の理由にならない。

 渋滞状況を把握しその情報を配信するシステムは、ここバンコクでもいくつか見られる。我々日本人でもよく目にするのが、幹線道路上に設けられた電光掲示板の道路地図だろう。現在地が示され、そこから延びるいくつかの道路の渋滞情報が、程度によって緑、黄、赤の3色で表示される。情報源は主要拠点40カ所に設けられた交通カメラだ。映像は集中管理室のモニターに送られ、スタッフが目視で状況を判断、各地の電光掲示板に情報を送るというものだ。

 同システムに対する評価は決して高くない。経験豊かなスタッフであっても、いくつもあるモニターを見続けるのは疲れる作業だ。渋滞の程度の判断はそれこそ経験値によるもの、決して数値に基づいたデータによるものではない。スタッフが仕事中ついつい寝てしまう、という笑い話もよく聞く。そもそも交通カメラの設置数が明らかに少ない。バンコク都内で主要交差点は400カ所あるという。現在のカメラ設置数は約150台で40交差点をカバーしている。わずか10分の1だ。

 IT世界最大手が無料で提供する、交通渋滞情報配信サービスもある。バンコクでもスマートフォンがあれば無料で利用できるが、こちらも情報の精度は決して高くない。高度交通システム(ITS)で世界基準とされる平均70%の精度をクリアせず、40―50%にとどまっていると聞く。

 この精度の低さは、政府系からの情報の少なさとユーザーからの情報を利用して分析・配信するというシステムに起因する。ユーザーがサービスにアクセスするタイミングはまさしく、本人が渋滞に巻き込まれたときだ。渋滞の最中にスマートフォンがサービスにつながれば、システムはそのユーザーの情報を得ることになる。ユーザーが手にするスマートフォンの移動状況が分析され、渋滞情報として配信される。ユーザーはサービスを利用しながら、実はシステムに利用されているのだ。個人情報保護の観点から、同サービスの利用を禁止する国もある。

独自のGPS設置、日本で標準採用のシステム

 弊社が開発した交通渋滞情報配信システム「TSquare Traffic」はもともと、慢性的な渋滞に悩むアジア諸国向けの有効なシステムの導入を、日本の総務省が支援すると表明したことで始まった。豊田通商が2010年から2011年にかけ、バンコク首都圏を走るタクシー700台で実証実験。良好な結果を得たことによって、今回の商用化に結びついた。

 TSquare Trafficは、バンコク首都圏を走るタクシーに独自に設置したGPSから元情報を得る。現在、1万台の規模だ。この元情報を日本や中国などで標準採用されているVICS/RTIC方式で取得・分析し、渋滞状況を生成。車メーカの専用スマホアプリへの提供とともに、アンドロイドおよびiOSプラットフォームの独自スマホアプリにも配信している。今後は法人向け配信も。

 カバーするのは、バンコク首都圏1都6県2万5000カ所の主要道路および交差点、高速道路、迂(う)回路といった道路要素。大通りでは車の走行速度が時速20キロ以下の道路は赤、時速20―40キロで黄、それ以上の流れでは緑という情報が5分ごとに更新される。精度はITSの世界基準である平均70%をクリア。高速道路や主要大通りであればほぼ100%だ。

蓄積されるデータと情報量の充実

 情報の精度は、サービスを続けることによってさらに上がっていく。過去のデータを蓄積・分析し、時間帯や時期による渋滞の発生、その渋滞の程度を予測することもできる。車の流れや赤信号によって起こるパターン化した渋滞、降雨による渋滞の悪化といった情報が、予測値として配信されるのだ。

 TSquare Trafficでは、道路をおよそ数百メートルに区切って「1リンク」とし、渋滞を分析・配信している。重要箇所であれば、さらに短く区切っていく。現在 情報発信源となるGPS搭載のタクシーは5分で数リンクの計測が可能だ。この数値を元に今後のGPS搭載タクシーの台数を調整、さらなる精度の向上を目指す。

 交通渋滞情報配信システムは、ユーザーに的確な状況判断と迂回路の選択を促すことにより、渋滞地域へのさらなる車両の進入を減らし、渋滞そのものの緩和につなげることを可能とする。世界各国で渋滞を研究・分析する専門機関からは、例えば中国では道路使用効率10%上昇、エネルギー使用率30%削減、移動時間15%短縮、公害問題30%減少といった参考数値が発表されている。

特定メーカーにこだわらない幅広い利用価値

 TSquare Trafficは渋滞状況のみならず、タイでは不可欠な洪水に関する情報も配信できる。政府機関からのデータを元に洪水発生状況を見える化、ユーザーに提供。今後は給油所や駐車場といった情報も充実させていきたい。

 道路状況を把握する以外にも、利用方法はさまざまある。例えば、タクシーを利用する際の安全管理だ。子供や女性がTSquareの1万台GPS設置タクシー(ステッカーで確認できる)に乗る際、TSquare Trafficアプリを利用するスマートフォンにタクシーのナンバーを入力すれば、リアルタイムでの追跡が可能となり、ひとつのアプリで普段は渋滞を見たりするのに使え、子供・家族がタクシーに乗るときには遠隔のスマホから確認でき、安全・安心できる。また、サービス面ではGPS情報でタクシー会社自体の配車システムにも応用している。来年からは車載機ナビゲータにも情報をFM配信していく予定で、特定メーカーにこだわらず多くの車に利用していただければと思っている。

 交通渋滞情報配信システムは、タイではいわば未知の代物だろう。しかし日本でも昔は、ナビゲータの有効性に誰もが半信半疑で、購入に積極性はなかった。TSquare Trafficも決してニーズに応えて開発されたものではない。我々からの積極的な提案が不可欠となろうが、同時にバンコクで最も必要とされるシステムであることに自信を持っている。

Toyota Tsusho Electronics (Thailand) Co., Ltd.
住所:15th-17th Floor, Mercury Tower 540 Ploenchit Road, Lumpini, Pathumwan, Bangkok 10330
電話:0-2639-3500 ファクス:0-2639-3503
ウェブサイト
会社:www.ttet.co.th TSquare service:www.rtic-thai.info/tsquare/
Contact email:tsquare@ttet.co.th
《newsclip》


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