RSS

タイ政府と深南部武装勢力、クアラルンプールで和平交渉開始

2013年3月28日(木) 21時28分(タイ時間)
【タイ】マレー系イスラム武装勢力によるテロが続くタイ深南部問題で、28日、タイ政府と武装勢力の一つであるBRN(パタニー・マレー民族革命戦線)の1回目の和平交渉がクアラルンプールで開催された。タイ政府と深南部の武装勢力が公式に和平交渉を行うのは初めて。

 タイ側からはパラドン国家安全保障議会事務局長(タイ陸軍中将)ら軍関係者5人と深南部ナラティワート県のアピナン知事ら行政官、学識者4人が出席した。交渉内容は明らかになっていないが、タイ側代表のパラドン事務局長は交渉前に、深南部の自治区化や深南部からの治安部隊撤退は議題にならないと話していた。

 一方、ナラティワート県では28日早朝、道路脇に仕掛けた爆弾が爆発し、パトロール中のタイ兵3人が死亡、5人が負傷した。
 
 タイ政府とBRNは、マレーシア政府の仲介を受け、2月末に和平交渉の開始で合意した。ただ、その後も深南部のテロは収束せず、武装勢力全体に対するBRNの影響力は疑問視されている。

〈タイ深南部〉
 マレーシアと国境を接するタイ深南部(ナラティワート県、ヤラー県、パタニー県の3県とソンクラー県の一部)には、もともとイスラム教徒の小王国があったが、約100年前にタイに併合された。タイ政府は同化政策を進めてきたが、現在も住民の大半はマレー語方言を話すイスラム教徒で、タイ語を話せない人も多い。タイ語、仏教が中心のタイでは異質な地域で、行政と住民の意思疎通が不足し、インフラ整備、保健衛生などはタイ国内で最低レベルにとどまっている。
 深南部のマレー系イスラム教徒住民によるタイからの分離独立運動は断続的に続き、2001年から武装闘争が本格化。2004年4月には、警察派出所や軍基地を襲撃した武装グループをタイ治安当局が迎え撃ち、1日で武装グループ側108人、治安当局側5人が死亡した。同年10月にはナラティワート県タークバイ郡で、住民の逮捕などに反発したイスラム教徒住民3000人が警察署前で抗議デモを起こし、治安当局による発砲などで7人が死亡、約1000人が逮捕され、逮捕者のうち78人が軍用トラックで収容先に移送される途中、窒息死した。両事件でマレー系イスラム教徒住民のタイ政府への反発は強まった。
 タイ政府は常時10万人以上の兵士、警官を深南部に送り込み、力で鎮圧を図ってきたが、現在も連日、銃撃、爆破、放火事件が起き、事態が改善するめどは立っていない。武装勢力と治安当局の抗争による死者は2001年からこれまでに約6000人に上る。
《newsclip》