インラク首相は会談で、王毅外相が最初の外遊先にタイを選んだことに歓迎の意を示し、両国の緊密な関係を反映したものだと述べた。中国とASEAN加盟国のベトナム、フィリピン、マレーシアが領有権を争っている南シナ海問題については、平和的な解決を支持すると伝えた。また、治水事業と高速鉄道網建設というタイの2大インフラ整備事業への中国の支援を要請した。
ASEAN加盟国のうち、フィリピン、ベトナムなどは、南シナ海の領有権問題の国際法に基づく平和的な解決を義務付けた「南シナ海行動規範」を中国に飲ませることで、紛争の激化を避けたい考え。中国は領有権問題は2国間で解決すべきとして、「行動規範」策定に難色を示している。昨年7月のASEAN外相会議では、中国から多額の支援を受けている議長国のカンボジアがこの問題で中国を支持し、共同声明が出せない異常事態となった。
インラク首相の兄でタイ政権の最高実力者であるタクシン元首相は昨年10月の米フォーブス誌のインタビューで、「(南シナ海の領有権問題は)2国間で取り扱うべき問題だと(カンボジアの)フン・セン首相に伝えた」「私は中国政府と非常に近い関係」などと語っている。
一方、スラポン外相は王毅外相との会談後、中国側がタイ北部チェンマイ動物園のパンダ、リンピンのタイでの滞在期間延長を認めたことを明らかにした。リンピンは中国政府からタイに貸与されているパンダのオスとメスが両親で、2009年5月にチェンマイで人工授精で生まれた。中国政府との契約では、5月27日までに中国に送られることになっていた。

上写真:王毅外相(左)とインラク首相
下写真:王毅外相とスラポン外相
写真提供:タイ首相府、タイ外務省