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東南アジアのテロ地帯 タイ深南部ルポ(4) 爆発物処理班はつらいよ

2013年5月24日(金) 19時54分(タイ時間)
東南アジアのテロ地帯 タイ深南部ルポ(4) 爆発物処理班はつらいよの画像
東南アジアのテロ地帯 タイ深南部ルポ(4) 爆発物処理班はつらいよ
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 無線コードの510(爆発物発見)の通報が入った場合、治安部隊はまず民間人を避難させ、現場を100~200メートルの範囲で封鎖する。

 最初に警察に通報が入ったら警察は軍に知らせ、その逆も同じくもう一方に知らせる。爆発物処理班(EOD)は陸海空の3軍と警察に存在、警察の中にも複数のEODがある。現場で鉢合わせになるのは日常茶飯事だが、一早く到着した班が爆発物を処理することになっている。

 現場にはいくつもの軍と警察の部隊が集まる。道路封鎖に交通警官も動員され、負傷者を移送するための民間のレスキュー隊も駆けつける。その数は軽く100人を超す。

 爆発物の処理では、防護服を着用することも多い。50キロもあるので、着用に2人の手助けが必要となる。触らせてもらったことが、防弾チョッキを大きくしたような作りでちょっと頼りない手触り。さらに、爆発物を処理するための道具は、普通の水を入れたペットボトルとそれにつないだ電気コード。お遊びかと思うようなEODキットだ。

 準備が整うと、防護服を着た陸軍兵士はただ1人、自らの重さで動きづらそうにノシノシと爆発物に向かって歩き出した。手にはペットボトル、電気コードをずるずる。100人以上の者が集まり、大げさな車両が何両も揃っているのに、肝心の爆発物処理はたった1人。これまでいろいろな任務を取材してきたが、「この任務だけは嫌だ」と後ろ姿を見ながらつくづく思った。

 防護服の兵士は爆発物にペットボトルを傾け、またノシノシとゆっくり戻ってくる。兵士や警官が全員、物陰に隠れる。ペットボトルにつながれた電気コードのもう片端には爆破ボタン。担当の兵士が大声で準備完了と叫び、カウントダウンを始める。爆発物が爆発。それを確認して、防護服の兵士がまたノシノシとゆっくり、爆発した場所に向かう。

 ペットボトルの水は爆発物を濡らして不発にさせるためのもの。爆発は失敗を意味する。ただ爆発しなかった場合は、よりやっかいだという。成功して爆発しなかったのか、失敗して爆発しなかったのかが分からないからだ。不発のときはペットボトルの設置と爆発を何回か繰り返すことになるが、その間に爆発が起きる可能性がある。ちなみに爆発が起きた場合、映画のように兵士が遠くまで吹き飛ばされることはない。その場に倒れて、運が悪ければ丸焼けになる。

 防護服の兵士が爆発場所を確認、爆発物発見器を手にしたほかの兵士が一帯を捜索、共に英語で「クリア」と叫び、爆発物処理が終わった。防護服の兵士、任務を終えて防護服を脱ぎ、自分で陸軍車両を運転して帰っていった。ハンドルを握るその姿は、自営業のオヤジのようだった。
《齋藤正行》


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