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東南アジアのテロ地帯 タイ深南部ルポ(5) マメな大佐が行く

2013年5月24日(金) 19時55分(タイ時間)
東南アジアのテロ地帯 タイ深南部ルポ(5) マメな大佐が行くの画像
東南アジアのテロ地帯 タイ深南部ルポ(5) マメな大佐が行く
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 取材続きで夕食を食べる暇もなく、夜9時にヤラー県のタスクフォース(混成部隊)に到着、副隊長のノッポーン大佐にあいさつする。

 チェンマイ出身、腹が出ていて、話し出すと止まらない。「飯はまだか? 先に食っていけ」と、粥を用意してくれる。連れの記者は、「助かった。相当腹が減っていた」とほっとしていた。タスクフォースはその県に展開する陸軍を全てまとめており、権限は強い。ノッポーン大佐はそのナンバー2だ。

 夜10時前、これから行くぞと言い出す。ヤラーの市街地で祭りが催されており、警備している陸軍と警察をねぎらいに行くと勝手に決めている。

 祭りは道路を1~2キロにわたってホコ天にし、何百軒という出店を並べていた。入り口では陸軍が男女を分けて身体検査を実施、女性の方はレンジャー部隊の女性兵士が担当していた。大佐、「日本の記者が写真を撮りにきたぞ、ピースでもせんかい」。

 行く先々で兵士に声をかけ、警官に会うと会釈するなど、性格はマメ。ホコ天を歩きながら、大佐はいろいろ説明してくれるが、あのお菓子はどう美味いとか、この乗り物はどう楽しいかとか、警備とは関係のないことをけっこう話す。警備のことを尋ねると、「見れば分かるとおり、テロが頻発するヤラーでこれだけの祭りが催され、これだけ安全だということだ」。

 大々的にクジをやっているブースが見えると、すぐさまニコニコ顔。水槽に浮いたボールをネットですくい、中に書かれた数字と景品を交換するというもので、1回20バーツ(50~60円)。100バーツ差し出すと、「おお、そうか、やりたいか。おい、お前買ってこい」と部下に命令する。結局、大佐が100バーツ分のボールを全部すくって、景品の中で一番安い食器用洗剤5本と交換。「お前、使え」と部下に押し付けていた。

 翌朝は市内の小学校にディスペンサーを寄付、その式典があるという。「学校に飲料水がないから、ディスペンサーを寄付する。陸軍はテロの連中と戦うだけではない。市民の生活を最優先で考えるのだ」。指定の小学校に朝7時半に着くと、大佐はすでに校長と一緒だった。全校生徒を集めた式典でも、先頭に立って話を始める。

 「いいか、兵隊さんが守ってくれている、って子どもたちからの信頼が必要なんだ。教室を見に行くぞ」。式典の後は、授業参観となった。大佐、ただ見ているわけではない。授業の途中に割り込み、先生の代わりに教え始める。教室を変えては同じことを繰り返し、あからさまに迷惑そうな顔をする先生も。しかし、子供たちは大佐の話に夢中。ベタな冗談に教室内は笑いで満たされる。大佐、かなりマメだ。
《齋藤正行》


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