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中国:河北省唐山の「曹妃甸工業団地」、資金繰り悪化で整備計画中断の瀬戸際か

2013年6月10日(月) 13時41分(タイ時間)
【中国】中国政府が「世界の工場」モデルからの脱皮を模索する一方、その流れに乗り遅れた地方の巨大プロジェクトが出てきたようだ。

 なかでもメディアの間で話題になっているのは、河北省唐山市で開発が進められていた大規模工業団地「曹妃甸(そうひでん)工業開発区」。プロジェクト母体企業の資金繰りが悪化するなか、エリア内では一部工事が延期・停止され始め、工事中のまま放置されるところも出ているという。本土メディアの21世紀経済報道が6日、複数の消息筋情報として伝えた。

 この工業団地は第11次五カ年計画(2006~10年)の国家重点プロジェクト。曹妃甸はもともと、唐山市南部沿海に位置する面積4平方キロメートルほどの小島だったが、03年の着工以降、周辺230平方キロメートルが埋め立てられて広大な陸地となった。北京市と天津市の影に隠れて存在感の薄かった河北省は大型港湾を利用し、“環境に配慮した”一大工業エリア(計画面積380平方キロメートル)の建設を計画。ピーク時には「1日4億人民元が投じられている」といわれるほどの力の入れようで、これまでの累計投資額は3000億人民元を超えたとされる。唐山市は公式サイト(http://www.e-tangshan.cn/invest/industry.html)で日本語の説明を完備。日本事務所を構えるなど、日本からも投資を呼び込もうと力を入れていた。

 その投資計画が、途中で止まりかけているようだ。当局の公式統計によると、08年の投資額が前年比36.6%増の327億6000万人民元に上ったのち、国務院が曹妃甸周辺エリアを合併して「曹妃甸新区」の発足を承認。中央政府の「4兆人民元景気刺激策」も重なって、09年に1023億人民元、10年に1000億人民元と投資額が急増した。しかし、中央政府が引き締めに転じたそれ以降は11年に600億9000万人民元、12年に600億人民元以下(投資計画未完了)と削減が進み、今年もさらに投資目標を低くする見通しという(唐山市の人民代表大会に参加した筋)。

 現在ではプロジェクト責任者が頻繁に交替するなど、政府関係者はだれも関わりたくないような扱いになっているようだ。中国の他の地方政府プロジェクトと同様、この計画も「管理委員会+資金の調達プラットフォーム企業(地方政府平台)」のモデルで進めたが、03年から約10年で段階的に膨らんだ巨額負債(約600億人民元か)について、利払いがピーク期にさしかかっているとされる。「利払い額は1日当たり1000万人民元規模に上る」と主張する筋もいるようだ。その半面、中央政府がマクロ引き締め策を継続し、地方債務問題の暴発を防ぐために銀行→地方政府平台への資金を絞るなか、融資の獲得は難度を増しているという。業界筋によると、資金繰りが苦しくなる足元数年が、プロジェクトが止まるかどうかの瀬戸際となっているようだ。

 曹妃甸新区の幹部によると、苦境に至った要因として、◆産業の柱としていた「港湾」「鉄鋼」「化学工業」「電力」の景気が悪化するなか投資熱が下がったこと、◆埋立地だったことから道路、水路、送電網など基礎インフラの整備向けに初期段階で大量の投資資金が必要だったこと――などをあげた。

 整備が遅れるなか、数十キロしか離れていない天津浜海新区に顧客企業が奪われるなど、ますます他地域との差が開くばかりのようだ。曹妃甸新区の12年総生産額が356億人民元、財政収入(税収など)が24億6000万人民元にとどまる一方、天津浜海新区の経済規模は曹妃甸新区の20~30倍(それぞれ7205億人民元、731億800万人民元)、青島西海岸経済新区は5~6倍(それぞれ2100億人民元と128億4000万人民元)に上っているという。
中国の統計デ
《亜州IR株式会社》

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