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巨額損失、在庫の山、横流し タイのコメ買い取り制度が波紋

2013年6月18日(火) 12時12分(タイ時間)
コメ在庫の横流し調査の画像
コメ在庫の横流し調査
写真提供、カンジャナブリ県庁
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コメ在庫の横流し調査
写真提供、カンジャナブリ県庁
コメ在庫の横流し調査の画像
コメ在庫の横流し調査
写真提供、カンジャナブリ県庁
【タイ】タイ政府による事実上のコメ買い取り制度であるコメ担保融資制度が波紋を呼んでいる。

 市場価格を大幅に上回る値段で農家から大量のコメを買い取った結果、巨額の損失と在庫の山を生み出した。コメ在庫の品質劣化や横流し、密輸された外国産米による制度の悪用といった不祥事も噴出し、政権基盤を揺るがしている。

 コメの担保融資制度はインラク政権の目玉政策のひとつで、政権発足から2カ月後の2011年10月に導入された。今年6月12日までに国際相場より数割高い価格で4047万トンを買い取り、費用は5887億バーツに上る。購入したコメの販売額は計760億バーツにとどまり、巨額の損失が生じる見込みだ。また、タイ産米は価格上昇で輸出量が激減し、昨年、1981年以来初めて、コメ輸出世界一の座から転落した。

 こうした状況を受け、政府は6月19日の臨時閣議で、それまで1トン1万5000バーツだった籾(もみ)の買い取り価格上限を6月30日から1万2000バーツに引き下げることを決定。籾を担保に受けられる融資について、1世帯当たり年50万バーツの上限も設定した。

 収入が急減する見通しとなった稲作農家はこの決定に強く反発し、6月25日、首相府前で数百人規模の抗議集会を開き、買い取り価格引き下げの撤回を要求した。政府は継続困難な買い取り価格を設定して農家を優遇した挙句、急に価格を大幅に引き下げ、農家の怒りを買った形だ。

 この制度で積み上がった膨大なコメの在庫も政府の頭痛の種となっている。倉庫に放置されたコメに虫がわくなどの問題が生じたほか、ソーシャルメディアで「腐ったコメが横流しされ、スーパー、市場などで販売されている」といううわさが広がった。ディスカウントストア大手ビッグCスーパーセンターは6月24日、こうしたうわさを払しょくするため、同社のプライベートブランド米を供給しているバンコク郊外の精米工場に記者団を招き、製造工程を公開し、品質管理に問題がないと強調した。

 隣国から密輸したコメをタイ産米と偽ってタイ政府に買い取らせる詐欺も横行しているもようだ。カンボジア国境のタイ東部アランヤプラテートでは6月21―24日、カンボジアからの密輸米を積んだトレーラーが相次いで摘発され、コメ約90トンが押収された。

 インラク政権はコメ担保融資制度や2012年に終了した1台目の自家用車購入に対する減税措置などのバラマキ政策で景気刺激と世論の支持のつなぎとめを図り、今年以降は治水事業、高速鉄道建設などの大規模インフラ整備事業で景気を下支えするはずだった。しかし、インフラ整備事業の遅れが確実となる一方、バーツ高などで輸出が苦戦。バンコクの中間層を中心にコメ担保融資制度への批判が強まり、政治、経済の両面で手詰まり感が広がっている。
《newsclip》

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