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タイで下院解散総選挙、野党の戦略は?

2013年12月9日(月) 13時32分(タイ時間)
バンコクの反政府デモ(アソーク通りとスクムビット通りの交差点、9日)の画像
バンコクの反政府デモ(アソーク通りとスクムビット通りの交差点、9日)
写真、ニュースクリップ
バンコクの反政府デモ(アソーク通りとスクムビット通りの交差点、9日)の画像
バンコクの反政府デモ(アソーク通りとスクムビット通りの交差点、9日)
写真、ニュースクリップ
バンコクの反政府デモ(アソーク通りとスクムビット通りの交差点、9日)の画像
バンコクの反政府デモ(アソーク通りとスクムビット通りの交差点、9日)
写真、ニュースクリップ
バンコクの反政府デモ(アソーク通りとスクムビット通りの交差点、9日)の画像
バンコクの反政府デモ(アソーク通りとスクムビット通りの交差点、9日)
写真、ニュースクリップ
解散総選挙を発表するインラク首相の画像
解散総選挙を発表するインラク首相
写真提供、タイ政府
【タイ】タイのインラク首相は9日、下院を解散し、総選挙を行うと発表した。45―60日後に総選挙が行われる。

 最大野党民主党が前日に党所属の下院議員全員の議員辞職を発表、9日朝からバンコクで数万人規模の反政府デモを開始したことから、解散総選挙で圧力をかわし、事態の打開を図る。

 ただ、反政府デモを率いるステープ元副首相(元民主党幹事長)は、首相の辞任や下院解散は目的ではなく、様々な職種の代表からなる「人民議会」に国権を委ね、インラク首相の兄であるタクシン元首相の影響力排除、汚職の根絶を目指すとしており、解散総選挙で事態が沈静化するかどうかは不透明だ。

 民主党は過去4回の総選挙でいずれもタクシン派政党に敗れている。今回の総選挙もタクシン派が優勢とみられ、民主党は選挙をボイコットし、司法、軍の介入を待つ戦術を取る可能性がある。 

 過去3回の総選挙の得票数をみると、タクシン政権(2001―2006年)の全盛期だった2005年2月はタクシン派政党1899万票、民主党721万票だった。軍事政権が民政移管のため実施した2007年12月の選挙は、軍部が民主党を後押しした結果、タクシン派1234万票、民主党1215万票と最も接戦になった。タクシン派デモ隊によるバンコク都心部の長期占拠、治安部隊による強制鎮圧という大事件の1年後に行われた2011年7月の総選挙はタクシン派1575万票、民主党1144万票と差がまた開いた。

 実際には2006年にも、反政府デモと特権階級からの圧力に苦しんだタクシン首相(当時)が下院を解散、総選挙を実施したが、民主党が選挙をボイコットした結果、裁判所が選挙の無効を宣告。宙ぶらりの状態となったタクシン政権は最終的に軍事クーデターで崩壊した。

 民主党が2008年に政権を奪取した際は、当時のタクシン派政権が反政府デモ隊に首相府やバンコクの2空港を占拠されて追い込まれた末、裁判所が「選挙違反」でタクシン派与党を解党し、政権が崩壊した。その後、民主党のアピシット党首、ステープ幹事長(当時)と、タクシン派政権に参加していた中小政党の幹部が軍の基地内で密談し、アピシット党首を首相とする連立政権を発足させることで合意した。

 タイは選挙に基づく立法、行政と、特権階級が影響力を持つ軍、司法が並立する二重権力構造で、2006年以降続く政局の混乱は、立法、行政を握ったタクシン元首相が国家システムの一元化に向け、軍、司法の掌握を目指したことが原因のひとつと考えられる。民主党はアピシット党首ら幹部に名家の出身者が多く、特権階級寄りとされる。

 タクシン派、反タクシン派の抗争は当初、タクシン元首相と特権階級の権力闘争とみられたが、バンコクの中間層、民主党の地盤である南部が反タクシン派、経済発展が遅れている東北部、北部がタクシン派という地域対立や、民主主義と伝統的な権力システムの衝突といった性格も帯び、対立が深まっている。

 反タクシン派にとって、インラク政権は反王室の汚職政治家であるタクシン元首相が「教育水準の低い東北人」を選挙で買収して発足した政権で、国を正しい方向に向かわせるためには、タクシン元首相と妹のインラク首相らの追放が必要となる。だが、選挙でタクシン派に勝てないため、軍事クーデターや裁判所の介入といった非常手段に頼る傾向が強く、タクシン派に比べ「教養」があると自負する反タクシン派が民主主義や法治を否定する主張を繰り返すという矛盾に陥っている。

 一方、タクシン派にとって、タクシン元首相は、これまで顧みられなかった地方住民、低所得者層に低額医療を行き渡らせ、農村・地方開発を進めた「民主主義のリーダー」。インラク政権は選挙で選ばれた正統な政権で、反タクシン派は軍事クーデターや裁判でタクシン派政権の転覆を繰り返す非民主的な勢力ということになる。

〈民主党〉
1946年に設立されたタイで現存する最も古い政党。保守中道の王党派で、1990年代には当時党首だったチュワン・リークパイ現党顧問会長が2度首相を務め、政界をリードした。教育・所得水準が比較的高い南部とバンコクの都市中間層が支持基盤。
《newsclip》

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