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内閣解任、与党解党、下院選無効化 タイ野党が司法闘争

2014年2月5日(水) 03時25分(タイ時間)
【タイ】反タクシン元首相派の野党民主党は4日の党役員会で、タクシン派インラク政権の解任、タクシン派与党プアタイの解党、2月2日の議会下院総選挙の無効化を憲法裁判所に求める方針を決めた。

 下院選については、同一日に全選挙区で選挙を行うことを定めた憲法規定に違反したとして、オンブズマンに対し、憲法裁に選挙の無効を訴える裁判を起こすよう要請する。

 プアタイについては、下院解散後にインラク政権が非常事態宣言を発令するなど、選挙戦で自党の有利になるよう政府の権力を乱用したとして、憲法裁に解党と党役員の公民権停止を求める。

 インラク政権については、憲法に違反する下院選を強行したとして、2万人の署名を集めて汚職取締委員会に捜査を要請し、汚職取締委が憲法裁に提訴するかたちを目指す。

 憲法裁はタクシン派と反タクシン派の抗争が表面化した2006年以降、一貫してタクシン派に不利な判決を下し続けている。2008年には、テレビ番組に出演して出演料をもらったとして、タクシン派の首相の首相資格をはく奪、事実上解任した。同年末には、タクシン派与党を選挙違反で解党し、タクシン派政権を崩壊に追い込んだ。昨年には、現行憲法の規定で約半数が任命制となっている上院を全議席公選制に変更する憲法改正案を違憲とする判決を下し、改憲を目指したプアタイと対立した。こうした経緯から、憲法裁は今回も、民主党との連携プレーで、下院選を無効とし、プアタイを解党、インラク内閣を解任する可能性がありそうだ。

 民主党は2008年のタクシン派政権崩壊後、解党されたタクシン派与党の中小派閥や連立与党の中小政党を取り込み、連立政権を発足させた。このときに連立工作を仕切ったのが、当時民主党幹事長だったステープ氏だ。民主党は2011年の下院選でプアタイに敗れ下野。昨年10月から、バンコクで反政府デモを開始し、12月8日、党所属の下院議員全員の議員辞職を表明。翌9日、バンコクで20万人規模の反政府デモを行い、インラク首相を下院解散、総選挙に追い込んだ。

 しかし、デモを主導するステープ氏はその後、インラク政権を打倒した上で、様々な職種の代表からなる「人民議会」に国権を委ねるという事実上のクーデター計画を打ち出し、下院選を拒否。民主党は12月21日、選挙ボイコットを表明し、デモ隊と足並みをそろえた。

 デモ隊は今年1月13日からバンコクの主要交差点をデモ隊で占拠し、多数の省庁をデモで閉鎖に追い込んだ。2月2日の下院選では、民主党の地盤であるバンコクや南部で投票会場をデモ隊が封鎖し、全77都県の投票会場約9万4000カ所のうち18県の投票会場1万300カ所で投票が行えなかった。

 下院選を妨害した民主党が選挙が円滑に行われなかったことを理由に政府・与党を訴えるという図式は欧米メディアから批判を浴びている。ただ、憲法裁、選挙委員会、汚職取締委などはいずれも反タクシン派の影響下にあるとみられ、司法闘争ではタクシン派に分がない。

 ここで問題になるのが、インラク内閣が憲法裁により解任された場合の次期首相の選出だ。選挙管理内閣が辞任もしくは解任された場合、次の首相をどうやって選ぶかについての憲法上の規定はない。首相は下院議員から選ぶと憲法で規定されているが、選挙の混乱で新しい下院が開会できるめどは立っていない。選挙委員会のソムチャイ委員は、内閣が存在しなくなった場合、下院解散中は上院が下院を代行するという憲法条文が使用できるという見方を示している。ただ、上院は3月2日に任期が切れる上、下院議員がいなければ首相の選出は不可能だ。

 こうした法律上の複雑な方程式をとき、民主党が何らかの方法で政権を奪取するというのが反タクシン派の最終的な目標とみられる。「合法的」な方法としては、憲法裁がプアタイを解党し、タクシン派の選挙準備が整わないうちに、民主党が参加して下院選を行い、民主党が勝利するというシナリオも考えられる。この場合、2日の下院選の無効化、プアタイ解党、インラク内閣解任をどのような順番でいつ行うかがカギとなる。

 3月30日に予定される上院選も方程式に入れる数字のひとつだ。上院(定数150)はタイの77都県から各1人を選挙で選び、残る73人を憲法裁判所長官、最高裁判事、選挙委員長らからなる委員会が選出する。選考委は反タクシン派で固められていることから、上院の約半数は反タクシン派になる見通しだ。反タクシン派は上院選である程度の県で勝利すれば、上院で多数派になる。
《newsclip》

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