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中国:“農民工の悲哀”―都市住民になりきれず、帰郷しても仕事なく

2014年2月5日(水) 14時22分(タイ時間)
【中国】都市部で働く農民工(地方からの出稼ぎ労働者)は、マイホームには手が届かず、制度上の理由から子供に教育を受けさせることも難しい。仕方なく故郷の農村へ戻っても、職はなく、起業しても失敗に終わることが多い。そんな農民工の悲哀を新網報が3日付で伝えている。

 安徽省界首市田営鎮魏窯村の李中さんは、1999年に高校を卒業すると同時に職を求めて上海にやってきた。月収300人民元(約5000円)の見習工としてプレス工場で働き始め、苦労をいとわず技術を磨く熱意が実を結び、すぐに熟練工として認められた。その後、次々と職を替え、その度に新しい技術や知識を身に付けた。平行して経営マネジメントも学んだ。実際の現場と、管理業務の両方に通じる人材として、ある企業から管理職待遇で招かれるまでになった。部下を率いて販売部門をまとめたが、上海の不動産価格はじわじわと上昇を続け、家を持つことはおろか、部屋を借りることも簡単ではない。李さんの住む辺りは、もともと1平方メートルあたり6000~7000人民元(約10~12万円)の不動産価格が、2~3万人民元(約33~50万円)に高騰していた。加えて、都市戸籍を持たない子供が上海で教育を受けるには困難がつきまとう。李さんは12年、家族を連れて安徽省の故郷へ戻る決断をした。しかし、故郷に李さんの職工技術やマネジメント能力を活かせる仕事はなかった。職を転々とした末に自ら起業。化粧品販売の失敗を経て、現在は山羊の養殖を手掛ける。しかし、経験不足から大量に子山羊を死なせるなど、思い通りの成果を上げることはできず、かろうじて体裁を維持しているのが現状。李さんは「もし、あのまま上海に居られたら、これほどの挫折を味わわなくて済んだだろう」と、溜め息をつく。

 あるとき李さんは、資金繰りの準備として、界首市に所有するマンションの査定を不動産仲介業者に依頼した。しかし期日になっても査定額は一向に明示されない。何度も先延ばしにされた挙句、ついに「賄賂を渡すまで、査定額が出ない」というシステムを理解した。「もし友人に言われなければ、まだバカ正直に待っていた」という李さんは、「5万人民元(約83万円)を借りるために賄賂代を上乗せするくらいなら、はじめから民間金融を利用する」と、あっさり依頼を引っ込め、民間金融を通じて資金を工面した。「多少利息が高くても、よっぽど気が楽だ」と笑う。春節後、廃電池回収業の会社を興すつもりだという李さん。「それが軌道に乗らなければ、単身、上海へ戻って職を探す。家族と離れるのは辛いが、農村のさびれようは、もはや生活する術を見出すことができない」と語る。その横顔には、都市と農村の格差を身をもって痛感したことによる悲哀がにじんでいた。
《亜州IR株式会社》


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