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成長鈍化の中国経済、「中所得国の罠」回避が急務に

2014年2月11日(火) 11時01分(タイ時間)
【中国】30年に及ぶ高成長の時代を経て、ここ数年は経済成長ペースが鈍化傾向にある中国。各種の改革を通じて経済の活力を保ちつつ、いかにして「中所得国の罠」を防ぐのかが喫緊の課題となっている。

 中国社会科学院人口・労働経済研究所によると、中国の1人当たりGDPは6000米ドル(約3万6400人民元、61万5000円)を突破。中間よりやや上の所得水準に達した。半面、人口ボーナスの消失や資源環境問題など新たな難問も出現。これら問題が経済成長力を弱めることで、「中所得国の罠」に陥る可能性が懸念されている。

 「中所得国の罠」とは、ある国が中所得の水準に達した後、生産コストの上昇などで競争力が低下し、最終的に経済が停滞する現象。ブラジルやメキシコなど、南米諸国が典型的な例となっている。

 国際通貨基金(IMF)によると、中国は2007年に経済成長率がピークに達した模様。IMFは「中所得国の罠に陥るのを回避するために、経済メカニズムの改革が必須」と警鐘を鳴らしている。また、中国人民大学・国際通貨研究所の副所長は、「中所得国の罠を回避できなければ、“南米化”の危機に陥る恐れがある」と危惧した。

 指導部も、こうした危機の深刻さを意識している。消息筋によると、昨年11月の三中全会で打ち出された改革「青色図」の起草過程では、改革を通じていかに「中所得国の罠」に陥るのを防ぐかが大きな研究課題だったという。

 それでは、三中全会で示された改革案のなかで、「中所得国の罠」に陥るのを防ぐための改革とは何か。文書起草メンバーの1人である中国国際経済交流センター常務理事長の鄭新立氏は、マカオで開催された経済フォーラムで、「土地改革こそが重要な手段である」と表明した。具体的には、◆農民による土地の請負権の賃貸や譲渡を容認すること、◆農民に対する住居の譲渡規制を緩和すること(宅地を担保にした融資など)、◆都市と農村部の二元構造を解消すること――などを指す。農村経済を活性化させ、農民の所得を向上させることにより、「中所得国の罠」を回避するのが狙いだ。

 これら土地改革が実際、どのように農民の収入を押し上げるのか。例えば、土地請負権を貸して、都市部に出稼ぎに出れば、農民の収入は増加する。また、住居譲渡規制の緩和は膨大な農村資産の活性化につながりそうだ。ある試算では、目下、農村部の宅地は2億5500万ムー(約17万平方キロ)。重慶の1ムー当たり平均価格(20万人民元)を基準とすると、その価値は51兆人民元(約868兆円)に膨張し、全国の銀行預金残高と2012年のGDP総和に相当する規模だ。農村の家を貸して、都市部で出稼ぎや起業などを行えば、これも農民の収入増につながる。

 向こう10年で「中所得国の罠」に陥ることなく、順調に高所得国の仲間入りすることができるのか――。今後の改革は、その実行力がカギを握ることになりそうだ。
《亜州IR株式会社》

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