RSS

タイ憲法裁、2月の議会下院選無効に

2014年3月21日(金) 15時00分(タイ時間)
手りゅう弾でけがをした男性の画像
手りゅう弾でけがをした男性
写真提供、タイ警察
手りゅう弾が爆発した民家の画像
手りゅう弾が爆発した民家
写真提供、タイ警察
【タイ】行政組織を監視する独立機関オンブズマンが2月2日のタイ議会下院選を無効だとして訴えた裁判で、タイ憲法裁判所は21日、訴えを認め、下院選を無効とする判決を下した。

 下院選の投票は全国で同じ日に実施すると憲法で規定されているが、2月2日の下院選は野党民主党系の反政府デモ隊による妨害で、全国375の選挙区のうち、民主党の地盤であるバンコクと南部を中心とする28の選挙区で投票が行えなかった。憲法裁はこれを理由に下院選を無効と判断した。

 下院選が無効とされたことで、インラク政権と選挙委員会は投票をやり直す見通し。ただ、民主党と反政府デモ隊は「選挙の前に政治改革を行うべき」という従来の主張を繰り返し、前回同様、民主党は下院選をボイコットし、反政府デモ隊は投票を妨害する構えで、事態収拾のめどは立っていない。

 今回の裁判について、タクシン元首相派の与党プアタイ(タイのため)党は18日に記者会見を開き、民主党、選挙委、オンブズマン、憲法裁などが共謀し、最初から下院選を無効にする計画だった可能性があると主張。民主党系デモ隊による妨害で投票が行えなかった選挙区での選挙のやり直しを選挙委が大幅に遅らせ、訴える権限がないオンブズマンからの訴えを憲法裁が受理したなどとして、こうした機関が民主主義の破壊を企てていると批判していた。

 一方、20日午後11時半ごろ、バンコク都内エカマイ・ソイ30通りの民家2棟の屋根に手りゅう弾2個が落ちて爆発し、住人のタイ人男性(43)がけがをして病院に運ばれた。現場はジャラン憲法裁判事の自宅から約300メートルほど。警察は何者かが判事宅を狙いグレネードランチャーで手りゅう弾を撃った可能性があるとみて捜査を進めている。

 タイでは2006年以降、地方住民、中低所得者が多いタクシン派と、特権階級、バンコクの中間層を中心とする反タクシン派の抗争が続き、政治、社会が混乱している。

 反タクシン派はタクシン元首相を反王室の腐敗政治家と糾弾し、タクシン政権(2001―2006年)は2006年、特権階級の意向を受けた軍事クーデターで崩壊した。2007年末の民政移管選挙で発足したタクシン派政権も、反タクシン派デモ隊による首相府やバンコクの2空港の占拠で追い込まれ、2008年末、裁判所命令で「選挙違反」により政権を失った。

 劣勢に立たされたタクシン派は「特権階級が軍、司法を動かし、民主主義と法治をねじまげている」と主張し、2009年、2010年と民主党連立政権打倒のデモを実施。2010年にはデモ隊と治安部隊の衝突で、91人が死亡、約2000人が負傷した。2011年の下院選ではタクシン派が再び勝利し、タクシン元首相の妹のインラク氏が首相に就任した。

 インラク政権は昨年、タクシン派と反タクシン派の政治抗争で投獄、訴追された人に包括的な恩赦を与える恩赦法案の成立を図ったが、汚職で実刑判決を受け国外逃亡中のタクシン元首相の帰国が可能になるため、10月からバンコクで大規模な反タクシン・反政府デモが始まった。インラク首相は12月、民意を問うとして、下院を解散。選挙では勝ち目が薄い反タクシン派側は民主党が下院選をボイコットする一方、反政府デモ隊が1月からバンコクの主要交差点を占拠し、2月2日の下院選ではバンコク、南部などで投票を妨害した。デモ隊は3月2日に主要交差点の占拠を解除したが、インラク政権の打倒、タクシン元首相の影響力排除を掲げ、政府との対話を拒否している。
《newsclip》


新着PR情報