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中国:取り付け騒ぎ発生の江蘇省塩城、昨年のケースと類似

2014年3月30日(日) 13時44分(タイ時間)
【中国】江蘇省東北部の射陽県(塩城市)で発生した銀行の「取り付け騒ぎ」をめぐっては、現地住民の金融に絡んだリスク意識が高かったことがその土壌にあるとみられる。

 倒産の噂が広がるなか、今回は射陽農業商業銀行の預金が集中的に引き下ろされた形だ。ただ、現地の射陽県では、2013年1月5日にも同様の「取り付け騒ぎ」が起きている。当時は農民数百人が特定の金融機関に殺到。銀行の業務が滞る場面がみられた。

 昨年に発生した騒動のきっかけは、民間の融資会社、信用保証会社が経営難に直面したこと。支払い不能に陥った経営者が行方をくらます事件が複数起きていた。これら企業に金を預けていた預金者の一部は、損失を被っている。営業規模が大きいとはいえ、銀行も一旦経営が立ちいかなると支払いを停止する――との流言、飛語が拡散するなか、今回も資金をまず手許に戻しておこうとする集団心理が働いたとみられる。

 射陽県などを含む塩城市には、亭湖区塩東鎮だけでも12年時点で130社を超える融資会社(高利貸し)が存在。これら企業は、民間の法人や個人から資金を集めた上で、高い金利で貸し出して利ざやを抜くビジネスを広く手がけている。ただ、融資に焦げ付きが生じることも多い。民間融資に絡んだ裁判は、2012年初めから現在まで多発。判決が下されたものだけでも、合計で2689件に達した。江蘇省南東部の南通市は塩城市より経済規模が大きいにもかかわらず、こうした判決の数は520件にとどまっている。

 射陽県では24日から25日にかけて、銀行経営破たんの流言が広がるなか「取り付け騒ぎ」が起きた。現場は江蘇射陽農村商業銀行が塩城環保産業園に構えた1支店。預金者約1000人が殺到し、銀行のロビー、門前で騒ぎ出した。これに対応した銀行側は、夜間も開業し、現金の払い戻しに応じている。

 江蘇射陽農村商業銀行に預けられた預金の総額は120億人民元(約1970億円)。射陽県で最大手の農業商業銀行とされる。支店数は44に上る。信用保証会社の破産が相次ぐなか、現地の塩城市では、不安心理が台頭。金融危機の発生を警戒して、現金を手許に置く動きが起きたことが騒動のきっかけとなった。

 こうしたなか、金融当局も不安心理の払しょくに向けて動き出した。中国銀行業監督管理委員会(銀監会)は26日、倒産の噂が広がった射陽農業商業銀行をはじめとする江蘇省の各農業商業銀行について、経営破たんの兆候はみられないとする声明を発表。経営状況は良好に保たれていると指摘したうえで、倒産などのリスクには直面していないと強調した。一部の支店で「取り付け騒ぎ」が発生したことに関して、事態の成り行きを重視しながら、社会と金融の秩序を守る方針を打ち出した。

 射陽農業商業銀行の全指標は、銀監会が定めた安全基準をクリアしていると説明。自己資本比率や流動性、不良債権保全率(引当金などによるカバー率)なども、全国銀行の平均よりも優れていると指摘した。預金顧客らに対しては、根拠がない流言、飛語に自身の行動が惑わされることがないよう注意喚起している。
《亜州IR株式会社》


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