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中国:化学肥料多用の弊害顕在化、土壌の硬化・酸性化が進行

2014年5月29日(木) 13時01分(タイ時間)
【中国】作物の栽培に大量の化学肥料を投下し続けていることによって引き起こされる“土地の劣化”という弊害が中国で徐々に顕在化している。土壌の硬化や酸性化が各地で報告されるようになった。

 土地の劣化で作物が育ちづらくなることを恐れ、収穫量を維持するためにさらに多くの化学肥料を使う――といった負のスパイラルに陥っている地域が多数を占めるという。中国中央テレビ(CCTV)が経済特集番組の中で報じた。

 2007年に実施された調査でも、土地の劣化を示す結果が報告された。全国各地から採取した土壌サンプル4万種のうち、有機質の含有量が基準に満たないサンプルで87%が占められた。うち、リンの不足は81.4%、カリウムの不足は41.7%、亜鉛の不足は51.1%などとなっている。

 土壌の硬化は、有機質の欠乏によって、水分や養分を蓄える土壌本来の能力が低下する現象。作物の根の成長にダメージを与え、収穫量の減少をもたらす。また、化学肥料の多用は、土壌の酸性化も早める。作物の多くは酸性土壌を嫌うため、栽培条件を悪くする。

 こうした問題を受けて中国政府は2005年から、土壌の肥沃度を計測し、足りない有機質を補う――といった、いわゆる“ピンポイント肥料投入法”を実践するよう農家に指導してきた。しかし、実際には浸透していないのが現状。土壌計測にコストがかかるため。政府はこの分野に毎年十数億人民元の補助金を投じているものの、全農家に行きわたらせることは不可能。自分の懐を痛めてまで政府の指導に従おうとする農家はほぼ皆無の状況だ。

 世界の人口の5分の1を養う中国の農業。その化学肥料使用量は世界の3分の1に迫る規模だと言われる。食糧生産高は2013年に10年連続の増産を達成した。しかしこの実績の裏に潜む“土地の劣化”が今後、中国の食糧安全を脅かすリスクとしてクローズアップされるだろう。
《亜州IR株式会社》


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