RSS

民政移管選挙は来年後半以降 タイ軍政トップ

2014年6月1日(日) 18時49分(タイ時間)
【タイ】5月22日のクーデターでタクシン元首相派政権を打倒し全権を掌握したプラユット・タイ陸軍司令官は5月30日のテレビ演説で、民政移管のための議会選挙が早くても2015年後半になると述べた。

 プラユット司令官によると、同司令官がトップを務めるタイ軍事政権は、タクシン派と反タクシン派の話し合いの場となる「和解センター」を設置し、今後2、3カ月で両派の「和解」を進める。その後、非民選の暫定政権と政治改革議会を発足させ、約1年かけて、選挙制度などの政治改革を推進。政治制度改革が完了し、両派が和解して事態が正常に復帰した後、民政移管選挙の準備に入る。

 プラユット司令官は民主主義の前に国家を選択するよう国民に訴える一方、国際社会に対し、タイの状況を理解し、問題解決の時間を与えてほしいと述べた。

 タイ字紙最大手タイラットのこの演説の記事(インターネット版)に対する読者の評価は6月1日時点で、「好き」36・8%、「嫌い」62・2%、英字紙バンコクポストの読者の評価は「好き」255人、「嫌い」300人だった。

 プラユット司令官の演説について、米国務省のサキ報道官は30日の定例会見で、民政復帰に向けたタイ軍政の「ロードマップ」は具体性に乏しいと指摘し、これまで通り、早期の選挙実施を求めると述べた。

 昨年10月から続いた大規模なタクシン派政権打倒のデモを指揮した反タクシン派野党民主党のステープ元副首相(元民主党幹事長)は「選挙前の政治改革」を掲げ、議会下院選を投票妨害などで阻止する一方、軍にクーデターによる政権打倒を訴えた。4月下旬にタクシン派と反タクシン派の「調停」に乗り出したアピシット民主党党首(前首相)は下院選の延期とタクシン派内閣の総辞職、議会上院による暫定内閣の設立、政治・選挙制度改革を提案しており、軍によるクーデターとプラユット司令官の今回の演説は、こうした民主党幹部の筋書き通りと言えそうだ。

 民主党は2001年以降、下院選でタクシン派に4連敗中で、「政治改革」では、タクシン派の復活を封じる下院改革、選挙制度改革がカギとなりそうだ。

 タクシン派政党と民主党の下院選の得票数は、タクシン政権(2001―2006年)の全盛期だった2005年2月がタクシン派政党1899万票、民主党721万票。2006年のクーデターでタクシン政権を打倒した軍事政権が民政移管のため実施した2007年12月の選挙は、軍が民主党を後押しした結果、タクシン派1234万票、民主党1215万票と僅差になった。タクシン派デモ隊によるバンコク都心部の長期占拠、治安部隊による強制鎮圧という大事件の1年後に行われた2011年7月の選挙はタクシン派1575万票、民主党1144万票だった。

 今回のクーデターで停止された2007年憲法の選挙制度は、下院(定数500)が小選挙区比例代表並立制、上院(定数150)は77議席を各都県1議席の選挙で選び、残りを憲法裁判所長官など反タクシン派がメンバーの大半を占める委員会が任命する。反タクシン派は選挙制度改革を通じ、上院での反タクシン派優位を維持しつつ、下院で議席数の差を詰める仕組みを考案する必要がある。

 県知事公選制導入も検討課題だ。タイの県知事は公選制のバンコク都知事を除き、内務省が派遣する官僚で、地方行政・開発は時の政権に左右される。県知事を公選制にし、国から地方に権限、財源を大幅に委譲すれば、民主党の地盤の南部は同党による地方自治が可能になる。実現すれば、国政選挙で勝てない民主党と同党支持者にとってガス抜きになり、政治抗争を緩和する効果が期待できる。ただ、地方自治拡大に対しては、保守派から、マレー系イスラム教徒住民の一部がタイからの分離独立を求めテロ活動を続ける深南部で分離独立の動きを助長し、王国の統一を損なうという懸念も出てきそうだ。
《newsclip》

特集



新着PR情報