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「愛を取り戻す」 タイ軍政トップ作詞の曲、ユーチューブで24万回再生

2014年6月15日(日) 15時23分(タイ時間)
プラユット陸軍司令官の画像
プラユット陸軍司令官
【タイ】タイ軍事政権トップのプラユット陸軍司令官が作詞した曲「タイに幸せを取り戻す」が話題を呼んでいる。インターネットの動画投稿サイト、ユーチューブに6日に投稿され、13日までに24万回再生された。

 歌詞は「国家は危機に直面している」「手遅れになる前に介入させて欲しい」「愛を取り戻すため」「時間が少しかかるが、待ってもらえないか」「兵士は負けない。これは約束だ」「タイは良くなる。幸せは戻ってくる」といった内容。クーデターで全権を掌握した強面の将軍とは思えないソフトな語り口だ。 

 タイでは昨年後半から、反タクシン元首相派による大規模なデモが続き、政府機能の一部が麻ひした。プラユット司令官は反タクシン派が求めるクーデターを拒否し続けていたが、今年5月22日、ついにクーデターに踏み切り、タクシン派政権を打倒した。

 プラユット司令官はクーデターについて、軍の私利私欲のためではなく、国家機能と治安を回復する必要に迫られた善意の介入だと主張。今後、タクシン派と反タクシン派の「和解」を進める一方、新憲法を制定し、2015年後半以降に民政移管の議会選挙を行う方針を示した。

 軍政はクーデター後、タクシン派の政治家、政治活動家、ジャーナリスト、不敬罪に批判的な学識者ら数百人を召喚し、多数の身柄を拘束した。また、警察長官、県知事などタクシン派の幹部官僚多数を更迭した。さらに、テレビ、ラジオを管理下に置き、報道内容を厳しく統制している。5月22日に発令した夜間外出禁止令は6月13日時点でバンコクなど大半の県で依然として解除していない。

 一方、「微笑み、幸せを国民に返す」とうたい、バンコクで軍楽隊などによるコンサートを開催。国費を投じてサッカーのワールドカップの全試合を地上波テレビで放送させるなど、国民にすり寄る姿勢も見せている。

 プラユット司令官を取材することが多いタイ人の記者数人に聞いたところ、司令官は直裁的で厳しいが、質問にイエスはイエス、ノーはノーと明快に答えるので、仕事がしやすいという。また、時折ふざけ、公用車に乗った後に手を振ったりと、人間味もあって、記者仲間の評判は上々だ。国と王室を思い、クーデターに踏み切ったという見方が強く、司令官自身への風当たりは、今のところ、さほど強くない。

 ただ、地方住民や低所得者層が中心で民主主義を求めるタクシン派と、タクシン派の政治参加を制限したい反タクシン派の溝は深い。両派の和解が1年程度で達成できるとは考えにくく、クーデターは問題を先送りし、新憲法の内容次第では、両派の対立をさらに深刻化させる危険をはらむ。

 困難な政治和解の道を探り、失速した経済を立て直し、クーデターで孤立した外交環境を改善する。軍政が直面する課題は複雑で多岐にわたる。「タイに幸せを取り戻す」道のりは、歌詞ほど簡単には行かなさそうだ。
《newsclip》

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