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まさかのときの救急医療 バンコク病院・ロジャナ工業団地共催無料医療セミナーより

2014年6月20日(金) 19時26分(タイ時間)
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則竹 淳 博士
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人形を使った胸骨圧迫の実践
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ニティワット・キットシーウライ医師
則竹 淳 博士(医学)
名古屋大学大学院医学研究科卒 バンコク病院メディカルコーディネーター

「3分」というキーワード

 「3分」というのは救急医療で最も大切なキーワード。これは心肺停止後、脳が死に始めるまでの時間を表す。
心肺が停止したら、まず守らなければいけない器官は脳である。なぜなら、脳の細胞は他の器官の細胞と違って、一度損傷したら再生能力がほとんどないからである。心肺の動きが止まることによって脳に酸素や血液が行かなくなると、命は助かっても手遅れとなる。

呼吸停止後……

■3分を経過すると蘇生率は1分ごとに半減。5分以上経過すると自発呼吸の回復はほぼ0%。
■2分以内に救命処置が施されると蘇生率は90%以上。5分後に救命処置が開始された場合の蘇生率は25%未満に低下。
■救命処置をした場合の助かる確率は、しない場合の2倍以上。

もしも家族や同僚が急に心肺停止に陥った場合

 何も処置せずに救急車を呼ぶのも一つの方法。「どうすれば良いか分からない」「下手な処置で悪化させたら」という不安はあって当然。しかし救命処置を施さずに生命が維持されたとしても、脳に障害が残ってしまったら社会復帰は望めない。

 日本でもタイでも、緊急を要する救命処置は一般人が行っても医療行為に該当せず、法的責任は問われないため、身近で起こりうる緊急事態に即応できるよう、救命処置方法を身に付けておくことは重要である。
一次救命処置の手順は「ABCD」で表される。

A=Airway:気道確保と呼吸確認
B=Breathing:人工呼吸
C=Circulation:循環の確認と胸骨圧迫 (心臓マッサージ)
D=Defibrillation:除細動

 まず最初に、(A) 気道がまっすぐになるようあごを上げ、呼吸をしているか確認する。(B) 呼吸がない=反応がないと判断した場合、人工呼吸を直ちに実施しなければならないが、最近では人工呼吸をせず心臓マッサージのみでも効果があることが分かってきた。(C )心臓マッサージは心臓の鼓動を戻すことが目的と思われがちだが、心臓から脳に血液と酸素を送り込むという重要な処置である。心臓マッサージを続けながらAED(電気ショック)を用意し、(D) 電気ショックが必要な場合は機械の指示に従い、電気ショックを行い、救急隊員が到着するまで心臓マッサージかAED対処を続ける。

「もしも」の前の予防:よくある症状=実は重病の前兆

■胸の痛み

 急に締め付けられるような痛み、前胸部、みぞおちのあたりの痛みは心疾患(狭心症や心筋梗塞)の可能性がある。普通に歩いているだけなのにひどく息が切れる、あごの辺りの締めつけられるような痛み、歯が浮く感じ、左腕内側のだるい痛みや力が抜けるような感じも要注意。チクチクするような痛み、肋骨の間を押すと痛むケースは生命の危険はない。
■めまい・頭痛・上半身片側だけの異常

 脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)の可能性がある。特にめまいは脳梗塞が発症する前もしくは発症中に起きる可能性が高い。くも膜下出血はハンマーで殴られたような急激な痛み。上半身片側だけで異常が起き、片側だけ顔面がゆがむ、片手が動かなくなる、ろれつが回らなくなる症状なども脳卒中の重要なサイン。締め付けられるような頭痛や頭を押して痛む場合は、頭皮の神経が傷んでいる場合が多く、命に別条はない。

■耳鳴り・眼精疲労

 耳鳴りは工場などで常に大きな音に接している場合に起こることが多く、脳梗塞や脳出血の可能性もある。特に‘キーン’といった長い耳鳴りには要注意。目の疲れは動脈硬化、糖尿病、脳血管障害、肝臓病などの可能性がある。特に目の疲れがずっと続く場合は要注意。

■糖尿病

 心疾患、脳疾患につながる病気。ふくらはぎがつる、冷えやほてり、便秘や下痢、胸やけ、立ちくらみなどの兆候。喉の渇き、体重の減少などは病状が進行しているサイン。

■頻尿

 昼間は2時間おき、就寝中に2回以上という頻尿、もしくは切れが悪い、血尿が出るなどは前立腺疾患の可能性がある。50代以上の男性は特に注意。

■しゃっくり

 脳や脊髄の病気、頭部外傷、脳挫傷など中枢神経と心筋梗塞、腫瘍、炎症など末梢神経に障害がある場合、しゃっくりが起きやすい。食後のしゃっくりとは違い、30分以上長く続いたり頻繁に起きたりする。

■腹痛・肩こり

 鋭く持続的な痛みは危険。前屈して楽になるのは膵炎や膵臓がんの疑い。腹部右下を押すよりも離した方が痛い場合は盲腸の疑い。肩こりは、体がだるい、発熱、痺れ、めまい、血尿などの症状を伴う場合は胃炎、胃潰瘍など内臓系の疾患の可能性。

■胃がん・肺がん・大腸がん・肝臓がん

 胃がん=空腹時にみぞおち辺りが痛む、食後に胃がむかつくなど。肺がん=声のかれ、胸の痛み、風邪のような症状。初期はあまり症状がない。喫煙との関係が高く、禁煙10年で30~50%の肺がんのリスクが低くなる。大腸がん=便が出きらない、排便の後、またすぐにもよおすといった症状。日本人は痔の場合が多いが、血便にも注意。肝臓がん=アルコールを長年大量に飲み続けることにより発症することが多い。相当進行しないと症状が出ないため、日常生活で休肝日を設けることが肝要である。

1「予防」→2「早期認識」→3「心肺蘇生(AED)」→4「二次救命処置」という救命の連鎖のなかで、医療従事者が関与するのは最後の4「二次救命処置」のみ。実際に1から3は一般人の行為で救命が可能となる。

セミナー参加者の声

 「一次救命処置の胸骨圧迫の人形を使ったデモ体験が一番勉強になった。そのような場面に遭遇したとき、自ら率先して行動できるという自信がついた」。
Thai Kokoku Rubber Co., Ltd. 寺山 栄二郎 氏(General Manager)

バンコク病院とロジャナ工業団地が医療協力
Nithiwat Gijsriurai MD. ニティワット・キットシーウライ医師
Deputy Hospital Director, Bangkok Hospital バンコク病院副院長

 ロジャナ工業団地アユタヤは200社以上の企業が入居し約20万人が就労する一大コミュニティです。仕事でもプライベートでも常に気を付けなければならないのが病気や事故。コミュニティが大きくなればその分だけ、より良い医療環境が求められるものです。バンコク病院はこのたびロジャナ工業団地と協力し、地域の医療環境の向上を目指すことになりました。団地の関係者や就労者に限らず、周辺住民にも利用してもらえる医療。その取り組みの一貫として、今回の共催セミナーは第一弾であり、今後も定期的に開催していく予定です。

 バンコク病院とロジャナ工業団地の今後の協力としては、まず産業医療の普及に務めます。また現場で発生するさまざまな疾病や事故に即応できるよう支援。救急医療体制の確立も重要ですので、緊急時に救急車やヘリコプターでの移送手配がスムーズに行える体制を整えたいと思います。将来的には、ロジャナアユタヤ界隈の患者さんがバンコク病院の医師やスタッフとテレコンサルテーションでやり取りできるサービスの設立も、視野に入れています。もちろん日本人スタッフや日本語通訳との日本語でのやり取りも可能です。

 早ければ年内にも工業団地内にて、当院の医療サービスを提供したいと思っています。周辺住民の方や団地内の多国籍企業の皆様の健康はもちろんですが、バンコク病院の過去40年に渡る日本人に特化した医療サービスの経験を生かして、ロジャナアユタヤの日系企業の皆様の健康に貢献できれば幸いです。バンコク病院は日本人の皆様にとってより安心でより身近な存在となります。

バンコク病院 ジャパン・メディカル・サービス
2 Soi Soonvijai 7, New Petchburi Rd., Bangkok 10310 電話:0-2310-3257
Eメール:jpn@bangkokhospital.com ウェブサイト:www.bangkokhospital.com
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