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タイ警察での鑑識技術指導(2) 日本人殺害、投光機で犯行見破る

2014年7月14日(月) 01時50分(タイ時間)
日本人殺害事件現場での鑑識捜査の画像
日本人殺害事件現場での鑑識捜査
写真、戸島国雄氏提供
日本人殺害事件現場での鑑識捜査の画像
日本人殺害事件現場での鑑識捜査
写真、戸島国雄氏提供
文:戸島国雄氏(警視庁元鑑識捜査官・元似顔絵捜査官・タイ警察現役警察大佐)

 鑑識技術指導は実際の現場を必要とするため、これまでにさまざまな事件現場に足を運んだ。証拠を採取する上で活用した機材の一つが、日本の警察で使用されている投光機*。タイ警察でも何台か取り揃えている。

 以前、来タイ日本人が殺害され、持参金8000万円を強奪されるという事件が発生。容疑者のマレーシア人が挙がり、令状を取って犯罪鎮圧課と共に家宅捜査に向かったが、決め手となる証拠が見つからない。室内には、「こんな偉い人が罪を犯すわけがない」と思わせるような、ブッシュ元米大統領との記念写真がぎょうぎょうしく飾られていた。おかしいと思わせたのは顔の影だった。元大統領と容疑者の影の出方が反対なのだ。合成写真と指摘した辺りから、容疑者に焦りが見え始めた。

 さらに細かく捜査するべく、日本から持参した投光機を照らした。床と水平になるよう照らすと、細かいものが良く見えてくる。タイルの目地に小さな点が見え、ただのシミかと思いながらも念のために爪楊枝の先を歯で潰してこすりつけてみたら、先に黒いものが付着した。明らかに血だった。

 さらに投光機を照らしてみると、普通に掃除するだけでは一見拭き取れたようで、実は簡単に消えない血痕が浮かび上がる。それは部屋からバスルームへと続き、ついに排水口に引っかかっていた銃弾を見つけるに至った。日本人を部屋の中に座らせ、後ろから頭を撃ったようだった。夜分に踏み込み、逮捕にこぎつけたのは明け方だった。

 投光機で犯行を見破った、外国人絡みの事件はまだある。新婚旅行でバンコクを訪れ、ホテル室内で夫が妻をバラバラ殺害した事件だ。遺体はチャオプラヤー川などに遺棄、浮かんできた頭は身元が割れないように切り刻まれていた。夫は捜索願を出して警察の前で泣きじゃくっていたが、捨てられたホテルのタオルが回収されたことなどから、室内での犯行が疑われた。

部屋には何も残っていなかったが、鑑識はまさにそこから始まる。床や壁などにあらゆる場所に投光機を水平に照らす。普通に見ただけでは決して分からない証拠が次々に挙がってきた。ナイフで首を切ったときに飛び散った血。バスタブに残ったナイフで切り刻んだ細かなキズ。ルミエール反応も出た。捜査から間もなく夫の自供を引き出した。最近の例では、反政府デモ絡みで起きる爆弾騒ぎで、爆発物の破片を調べるために投光機が活用されている。
《newsclip》

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