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東京医科歯科大学・バンコク病院共催「家族の健康セミナーおよび相談会」

2014年7月22日(火) 19時26分(タイ時間)
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ティラウッド・クハプレマー医師
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川元 龍夫 医師
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宮崎 泰成 医師
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東京医科歯科大学・バンコク病院共催「家族の健康セミナーおよび相談会」
がんの予防

バンコク病院 ティラウッド・クハプレマー医師
Thiravud Khuhaprema, M.D., FRCST., FICS., Visiting Professor
Acting Hospital Director, Wattanasoth Hospital
東京医科歯科大学客員教授 ワタノソットがん病院院長代行

がんは遺伝子の突然変異

 がんは紀元前1500―3000年の古代エジプトですでに、悪性骨腫瘍などが認識されていた。英語のCancerはカニ(蟹)を意味し、乳がんの腫瘍がカニの脚のような広がりを見せていたことに由来する。腫瘍は良性と悪性に大きく分かれる。

■良性=自律的に増殖する、圧排性・膨張性の細胞集団→「しこり」など
■悪性=自律的な制御なしに増殖。浸潤性・破壊性をもって周囲の組織を犯す→「がん」

 がんはいわゆる「遺伝子の病気」で、細胞の中に含まれる遺伝子が突然変異するもの。人の体は通常、誕生から死までの過程で「新しい細胞を必要とするときのみ」細胞の成長と分裂を繰り返すよう制御されている。遺伝子の中でも、細胞を増殖させる「アクセル」の役割を果たす遺伝子があり、そのアクセルを「踏み続けたまま」とする遺伝子がある。このアクセルを踏み続けたままの遺伝子が「がん遺伝子」とされる。一方、細胞増殖を停止させる「ブレーキ」の役目を果たす「がん抑制遺伝子」もあるが、がん遺伝子の突然変異による活性化、がん抑制遺伝子の突然変異による不活性化が繰り返されることにより、がんが発生する。自動車で例えるなら「アクセルが戻らなくなり、ブレーキも効かなくなって壁(がん)に衝突」する事故だ。

遺伝より環境に左右されるがん発生

 2005年度の数字で、世界のがん人口は2500万人。760万人が死に至り、(新たにがんと診断される)がん罹患は1200万人に上った。2030年には、がん人口が7500万人に達し、1700万人が死亡、がん罹患は2700万人という予想値がある。

 日本では2012年、がんで亡くなった人が36万人を超え、死亡総数の30%近くを占めた。死因としては1981年に脳卒中を抜いて常にトップにある。日本の5大がんは胃がん、大腸がん、肺がん、乳腺がん、前立腺がん。

 タイでも1999年以降、それまで最多だった交通事故を抜いてがんが死因トップに。がん罹患は13万人で、がんで亡くなる人は年7万人超。2030年にはがん罹患16万人強、死者12万人強と予想されている。タイの5大がんは肝がん、肺がん、乳がん、子宮頸がん、大腸がん。

 がん発生は遺伝よりはむしろ環境に左右される。その割合は遺伝30%:環境70%とされ、環境はさらに食生活や喫煙などに分類されていく。日本人に胃がんが多いのは塩分の摂取過多であろうし、タイの東北地方で多く見られる胆管がんは、淡水魚などを調理した郷土料理が多いためとされる。

予防&危険信号

世界保健機関(WHO)では、がんの予防を三次に分けて啓蒙している。

■一次予防=発がんリスクの軽減
■二次予防=早期発見
■三次予防=悪化予防

 がんの3分の1は予防が可能、3分の1は早期発見が可能、残り3分の1は緩和ケア(悪化予防)となる。
以下は、国立がんセンターがん予防・検診研究センターの「がんを防ぐ12ヶ条

1 バランスのとれた栄養をとる
2 毎日、変化のある食生活を
3 食べすぎをさけ、脂肪はひかえめに
4 お酒はほどほどに
5 たばこは吸わないように
6 食べ物から適量のビタミンと繊維質のものを多くとる
7 塩辛いものは少なめに、あまり熱いものはさましてから
8 焦げた部分はさける
9 かびの生えたものに注意
10 日光に当たりすぎない
11 適度にスポーツをする
12 体を清潔に

タイ国立がんセンターの「5 Do 5 Don’t」

5 Do 1):運動する(簡単な運動から始める) 2):充実した生活を送る 3):野菜や果物を食べる 4):バランスの良い食事を心がける 5):定期的に健康診断を受ける
5 Don’t 1):タバコを吸わない 2):異性との不健全な交際をしない 3):お酒を飲み過ぎない 4):日光に当たりすぎない 5):淡水魚を生で食べない

 日本人の方は、塩分の摂取過多のほか、喫煙に気を付けていただきたい。喫煙による発がんは20―30年かかるので実感しにくいが、肺がんだけでなく喉頭がん、食道がん、子宮がんの原因にもなる。また、個人で予防できない、環境汚染などの外的発がん要因は、行政によって改善されなければならない。現在確認されている発がん性物質は220種類あるといわれる。

がんは危険信号を発する。心当たりがある場合はただちに検診を受け、二次予防=早期発見を実践する。日本対がん協会が制定する「がんの危険信号8か条」は以下のとおり。

1 胃がん
  胃の具合がわるく、食欲がなく、好みが変わったりしないか。
2 子宮がん
  おりものや、不正出血はないか。
3 乳がん
  乳房の中にしこりはないか。
4 食道がん
  飲み込むときに、つかえることはないか。
5 大腸がん、直腸がん
  便に血や粘液がまじったりしないか。
6 肺がん、喉頭がん
  咳が続いたり、痰に血がまじったりしないか。声がかすれたりしないか。
7 舌がん、皮膚がん
  治りにくい潰瘍はないか。
8 腎臓がん、膀胱がん、前立腺がん
  尿の出がわるかったり、血がまじったりしないか。

 日本では職場や地方自治体による「対策型検診」と個人で検診に赴く「任意型検診」がある。臨機応変に効率よく検診を受けたい。タイでは三次予防を含め、バンコク病院のワタノソットがん病院が日本人の方々が安心して予防および治療できる環境を提供している。



歯並びについて知ろう
~いつ始めるの、どう直すの~

東京医科歯科大学歯学部附属病院
矯正歯科外来
川元 龍夫 医師

日本人の不正咬合者の割合は50%

 日本人を含む東洋人は西洋人と比較しておおむね、「歯が大きく、アゴの奥行きが小さい」という傾向が強く、このバランスは咬合に影響する。「上の歯が下の歯より2ミリほど出ていて、双方が2ミリほど重なっている状態」が理想的な咬合といわれる。日本で不正咬合者の割合は49.6%、その中で矯正治療が必要な人は17.99%という数字がある。東京医科歯科大学歯学部附属病院の矯正歯科外来の2011年の新患登録は674名。女性が448名と過半数を占めた。

 歯科矯正治療の対象となる疾患は、私費治療と保険矯正治療に分かれる。叢生(そうせい、歯のでこぼこ)、八重歯、出っ歯、受け口、開咬といったいわゆる不正咬合は、私費治療。外科的矯正治療が必要となる顎変形症、先天異常疾患に伴う不正咬合、口唇口蓋裂などは保険矯正治療。なお健康保険が適用される先天異常は現在、47疾患が対象となっている。

不正咬合がもたらす障害

不正咬合による問題としては機能面、審美面、そして社会心理面での問題点があげられる。また不正咬合がもたらす障害は以下のものがある。

■う歯発生の誘因
 特に叢生があると、口腔内の自浄作用が阻害され、清掃器具使用時(歯を磨くときなど)に取り残されるプラーク(歯の汚れ)が多くなる。

■歯周疾患の誘因
 前歯の突出などで口唇閉鎖が不十分な場合、歯肉が乾燥して歯肉炎を助長、歯周疾患の誘因となる。

■発音障害
 前歯部開咬、著しい上顎もしくは下顎の前突は、両唇破裂音(パンpanやバスbusなど)や摩擦音(歯茎と舌端で隙間を作って起こすサ、ス、セ、ソなど)といった発音に、下顎前突は、歯茎音(歯茎と舌端で閉鎖を作って開放することによって起こすダ、ドなど)といった発音にそれぞれ障害をもたらす。

■咀嚼(そしゃく)機能障害
 咀嚼能力は、咬合状態、歯周組織、舌、頬、口唇、咀嚼筋などの顔面、頭頸部の筋、神経、顎関節などの総合的な能力によって決まる。

■顎運動(筋機能)障害
 顎の軌道を検査すると、正常咬合者はスムーズな軌道、不正咬合者はスムーズでない軌道を描く。

■骨の発育障害(顎変形症の誘発の危険)
 永久前歯萌出時に上下前歯が切端で当たり、臼歯の咬合を得るために下顎を前に出して咬合する機能性反対咬合においては、成長に伴って下顎骨が前方に過成長することがある。また、歯性の誘導で下顎がどちらかにずれている場合、成長により下顎骨の非対称を誘導することもある。

■審美的障害
 不正咬合の障害としての口腔機能障害は、疼痛や肉体的違和感を伴うことが少ないため、障害を自覚する患者は少ない。むしろ、矯正治療によって歯並びあるいは顔貌の形態を改善することにより、審美性の観点から心理的・社会的に満足できる状態を求めることが多い。

矯正歯科外来における治療の流れ

 矯正で訪れる患者は子供が多く、身体の成長に合わせながら治療を進めていくことになる。初診相談の後に矯正科登録となるが、治療を始めても良い時期まで様子を見る場合も多い。矯正科に登録した後に精密検査に入るが、検査回数は個人差がある。担当医が検査内容を詳しく分析、患者、(患者が未成年の場合は)保護者、科長(顎顔面矯正学教授)と共に、病状の診断と治療方針を決定する。I期治療は8―11・12歳、II期治療は11・12歳―が開始時期。

 矯正に使用する材料は、セラミックブラケットやメタルブラケットといったもので、ワイヤーで固定する。一昔前はいかにも金属という感じで仰々しかったが、最近はカラフルな材料が増え、矯正中の笑顔を競う「ブレーススマイルコンテスト」といったイベントも催されている。ブラケットの色については、クリスマスの時期になると「赤と緑を交互に」、正月になると「紅白で」といった患者からの要望もある。

 矯正は「従来型」や「セルフライゲーション」といった方法があるが、原理は一緒なので腕の良い矯正科医が治療すれば結果は同じ。ただ、「リンガルブラケット」は舌側(歯の裏側)に設置するので、舌の違和感や発音の障害を与える場合がある。

歯がきれいに並んでも、矯正は終わりではない。数年かけて矯正しても、時間が経つにつれ歯は後戻りする。目的の位置に移動させた歯および顎骨を、その位置と状態に長期間安定させるため、保定装置(後戻り防止装置)を取り付ける。2年が目安。

成長期の矯正治療

 子供は6歳頃に臼歯と上下前歯の萌出を開始するが、歯根は未完成。9歳ごろに臼歯と前歯の歯根が完成、犬歯や小臼歯が交換される。12歳から臼歯が萌出開始、体も成長のピークを迎える。上顎の成長は9歳までに95%が完了、一方の下顎の成長は背が最も伸びるときに始まり、背が伸びる間続く。ポイントしては、

■上顎と下顎は成長のタイミングが違う。
■12歳臼歯が生えるまで歯並びは完成しない
■3人がけのイスに5人は座れない、大きな人なら3人さえも座れない(歯の大きさと顎の奥行きの関係)
子供の成長に合わせた矯正が重要であり、成人なら歳を取れば取るほど慎重に歯を動かさなければならない。



病気は夜作られる
~睡眠時無呼吸症候群~

東京医科歯科大学保健管理センター
医学部附属病院快眠センター
宮崎 泰成 医師

睡眠障害とは?

 先進国を中心に調査された各国国民の睡眠時間は、日本人が有業男性で1日平均7時間52分、有業女性で同7時間33分(いずれも週全体の総平均時間)。調査対象国の中では日本人は男女とも最も短い。十分な睡眠時間は人によって異なるが、例えば2時間の睡眠不足だった場合、「睡眠不足>飲酒」の式が成り立ち、ビールジョッキ2―3杯分の影響があるといわれる。軽度の酩酊状態で仕事や運転をするイメージだ。

 実際、睡眠を原因とする事件事故は多い。海外では1979年の米スリーマイル島原子力発電所事故、同年の米チャレンジャー号爆発事故、1986年の旧ソ連チェルノブイリ原子力発電所事故など、寝不足や交代勤務などでの少しの眠気や油断が大事故を引き起こしている。
日本国内で知られる事件は、新幹線ひかりの運転士の居眠り。前夜10時間の睡眠を取っていたにもかかわらず、時速270キロで8分間26キロを居眠り運転した。この運転手は睡眠時無呼吸症候群(SAS: sleep apnea syndrome)であると診断され、この病気が社会的な問題となることが知られるようになった。平成15年2月26日に発生したことから、平成の二・二六事件と呼ばれている。日本国内の潜在患者は200万人、睡眠不足による日本の経済損失は年間3.4兆円といわれている。

21世紀の比較的早い段階に、がんや循環器疾患などの難病の多くが医学および医療技術によって克服されると予測されている。しかし、睡眠障害を含む心の病気については今後さらに増加、決定的な治療も望めないという悲観的な見通しがほとんど。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

 SASとは、「寝ているときに『呼吸が止まり、目が覚める』を繰り返して眠りが浅くなり、昼間の眠気、体調不良、高血圧、糖尿病を引き起こす」病気で、1時間当たりの無呼吸低呼吸指数(AHI)が5回以上認められるもの。日本では有病率が人口の2―5%、男女比で5:1(50歳以上で2:1)、85%以上が未診断といわれる。

 睡眠時無呼吸の分類は、閉塞型、中枢型、混合型と3種類あるが、その9割は睡眠中に上気道が閉塞して呼吸が停止する閉塞型である。

 閉塞型の原因は、主に以下の2つの異常に分けられる。

■形態的異常=肥満によって気道に脂肪が沈着する、扁桃肥大、巨舌症、鼻中隔彎曲症、アデノイド、小顎症など。
■機能的異常=気道を構成している筋肉の保持する力が低下。

 アゴが小さいといった小顎症は、縄文人・弥生人といった日本人のルーツにも影響している。

 一方、SASでは睡眠時の無呼吸に伴う睡眠の障害が問題となる。健常人の睡眠は眠り始めに深く、明け方にかけて睡眠が浅くなっていくが、閉塞型無呼吸患者においては深い眠りがなく、何度も覚醒反応が出現する。よって睡眠の質が悪くなり、日中傾眠につながる。睡眠の断片化および間欠的な低酸素血症は、最終的に虚血性心疾患や脳血管障害といった動脈硬化症につながる恐れがある。

閉塞型SASはどのようなときに疑うか?どのような症状があれば受診した方がいいか?

■いびきや無呼吸 ←家族の指摘が多い。
■昼間の眠気。
■熟睡感がない。朝、頭が痛い。
■認知能の低下。
■高血圧や糖尿病などの生活習慣病がある。

 以上の症状があれば受診を勧める。外来では問診、簡易診断(スクリーニング)を受ける。場合により1泊入院して確定診断を受ける。確定診断の後はマウスピースもしくはCPAP療法となる。

 診断されたら、どのような治療を受けるのか。治療の基本は、まず生活習慣の改善。

■肥満は大敵 →減量
■飲酒は無呼吸を悪化させる
■睡眠薬も時として無呼吸の促進剤に
■タバコも無呼吸の増強剤

 この生活習慣の改善とともに、以下の治療を行う。

■内科的治療=CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸法)
■歯科的治療=マウスピース
■外科的手術=UPPP、咽頭、扁桃、アデノイド切除
■薬物治療

 CPAP療法はマスクのような装置を被る。無呼吸・低呼吸・いびきの消失、睡眠の質の改善、日中の眠気の消失、日中の活動性の増加→体重の減少、夜間尿の減少、高血圧の改善、合併症の予防などを促す。また、高血圧や心疾患リスクに対する効果も期待できる。

 マウスピース(スリープスプリント)は睡眠中の気道を広げ、呼吸が止まるのを防ぐ。専門の歯科医師が検査、歯並びやアゴの形状にあった装置を作り、調整・確認の後に使用を開始する。CPAP療法と比較して簡易的で持続性がある。

 SASの治療は、昼間の眠気など症状の改善と共に、合併症としての生活習慣病及び動脈硬化性疾患の予防・改善が目的である。睡眠障害は「第5の生活習慣病」と呼ばれている。「高血圧」「糖尿病」「脂質異常症」「メタボリックシンドローム」そして睡眠障害だ。SASはこの中のメタボリックシンドローム(メタボ)との類似が指摘される。メタボ=肥満症、内臓脂肪症候群。肥満はSASの最大のリスクファクターで、SASの頻度と内臓脂肪の蓄積は比例する。

むずむず脚症候群(レストレスレッグ症候群)

 SASとともに睡眠障害を引き起こす、むずむず脚症候群は重要である。「むずむず」「ピリピリ」「ピクピク」「じんじん」「ほてる」「かゆい」「虫が這っているよう」「電気が流れている感じ」といった症状で、「日常の活動が妨げられる」「仕事に集中できない」「絶望的になる」といった影響をおよぼす。患者の4人に1人が仕事に集中できないという悩みを抱える。100人に2―5人の有病率といわれ、特に女性に多く年齢と共に有病率が上がる。

 チェックポイントは以下の4項目。

1 脚に不快感や違和感があり、じっとしていられず脚を動かしたくなる。
2 その不快感や脚を動かしたい欲求は、座ったり横になったりするなど安静にしているときに起こる、あるいは悪化する。
3 その不快感や脚を動かしたい欲求は、実際に動かしたり歩いたりすることで改善する
4 その不快感や脚を動かしたい欲求は、日中より夕方や夜間に強くなる。

該当する場合は医師への相談をお勧めする。

Bangkok Hospital
住所:2 Soi Soonvijai 7, New Petchburi Road, Bangkapi, Huay Khwang, Bangkok 10310
電話:0-2310-3257 (Japan Medical Service 7時―20時) ファクス:0-2755-1261
Eメール:jpn@bangkokhospital.com (平日のみ) ウェブサイト:www.bangkokhospital.com
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