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中国:エキノコックス症の蔓延地区、過半数の家庭に発症者

2014年10月28日(火) 12時53分(タイ時間)
【中国】四川省カンゼ・チベット自治州の人口10万人に満たない石渠県は、エキノコックス症の発症率が中国で最も高く、過半数を超える1万2000世帯が、家庭に少なくとも1人の発症者を抱えているという。

 同県では、2005~08年までに401人が亡くなり、2007年の有病率は14.99%に達した。これは、世界で最も有病率の高い地域であることを意味する。膨湃新聞網が24日付で伝えている。

 同県に住む今年45歳になる女性は、ここ10年のあいだに兄妹2人と従姉妹1人をエキノコックス症で失った。彼女自身も、ここ数年腹痛が絶えなくなり、しだいに腹部が膨張してきた。4カ月前に亡くなった従姉妹をチベット族の鳥葬で見送った際、女性は従姉妹の腹部から頭部大の腫瘍がこぼれ落ちる様子を目にした。自身が一家で4人目の犠牲者になるのではという恐怖が、女性を苛んでいる。

 ヒトが寄生虫エキノコックスに感染すると、体内のおよそすべての器官は、寄生幼虫の温床となる。中でも肝臓への寄生は、症例の70%を占める。発症までの潜伏期間は5~30年に及び、感染初期は自覚症状が無い。そのため、幼虫による嚢胞が肥大化し、周囲の臓器を圧迫してはじめて感染を知るケースが多い。しかし、その段階までくると、すでに病状は中期から末期症状に差しかかっている。感染者の5年生存率は30%、10年生存率は8%とされ、その死亡率の高さから「虫の癌」とも呼ばれる病気だ。

 常に中国で最も貧しい地区の1つに数えられる石渠県は、海抜4200メートルの厳しい気候がネックとなって、長く発展を妨げられてきた。街灯が整備されたのさえ、つい3、4年前のことだ。上下水道は依然として完備されていないため、生活ゴミが浮き、それを目当てに集まった野良犬や家畜の群が行き交う川の水を、飲み水として利用している。

 中国衛生部は2006年、同感染症を、無料投薬治療の対象となる感染症の1つに指定し、予防・治療プロジェクトを発動させた。同年、四川省地方政府も同名プロジェクトを開始し、井戸の敷設による清潔な飲料水の確保と、主要媒介動物である野良犬の駆除に着手した。

 当初、09年までに、水深30メートル以上の井戸を200基敷設する計画だったが、遊牧民の伝統的な固定観念と、乏しい財政、厳しい気候に阻まれ、14年現在、竣工した井戸は30~40基に留まっている。電力で水を汲み上げる、安全な水質の井戸を掘るためには、1基あたり約20万人民元(約354万1000円)の資金が必要だという。

 また、毎冬関係機関にノルマを課して捕獲する野良犬にも、地元当局の財政は圧迫されている。殺生を忌み嫌う遊牧民の心情を慮り、捕まえた犬はすべて隔離施設に入れられるため、餌代などの費用がかさんでゆく。

 また、四川省で最も広い面積をもつ同県に、人口10万に満たない遊牧民が点在して暮らすため、啓発活動もスムーズに進まない。成都市華西医院から派遣された同感染症の専門家が今月10日~18日、同県でエキノコックス検診を行ったが、その報せが行き渡らないために、検診の機会を逃した未発症の保菌者は多い。
《亜州IR株式会社》

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