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前首相の参政権5年間停止 タイ軍政、タクシン派抑えこみに自信

2015年1月23日(金) 14時49分(タイ時間)
インラク前首相(22日)の画像
インラク前首相(22日)
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インラク前首相(22日)
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インラク前首相(22日)
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インラク前首相(22日)
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インラク前首相(22日)
万里の長城を訪れたインラク前首相(左)と兄のタクシン元首相(2014年10月)の画像
万里の長城を訪れたインラク前首相(左)と兄のタクシン元首相(2014年10月)
写真提供、タクシン元首相派前与党プアタイ
【タイ】昨年5月のクーデターで崩壊したタクシン元首相派前政権の幹部に対する弾劾決議案の投票が23日、タイ軍事政権下の暫定国会「立法議会」で行われ、タクシン元首相の妹のインラク前首相の弾劾が賛成190票、反対18票で可決された。

 インラク前首相は、事実上のコメ買い取り制度「コメ担保融資制度」をめぐる汚職と巨額の損失を知りながら同制度を継続したとして、職務怠慢で弾劾された。前首相は暫定国会で自ら釈明し、コメ担保融資制度は農家の収入を増やすための正しい政策で、不正はなかったなどと主張。すでに首相の職を失い、弾劾対象とはならないとして、審議の正当性自体に疑問を投げかけたが、受け入れられなかった。

 前首相は弾劾可決で参政権が5年間停止される。軍政が約束する民政移管の総選挙に出馬できなくなる見通しで、東北部や北部で人気の高い前首相を失ったことはタクシン派にとって打撃だ。

 前首相についてはまた、最高検察庁が23日、コメ担保融資制度をめぐる職務怠慢で刑事訴追する方針を固めた。有罪の場合、最高で禁固10年が科される。

 議会上院の全議席を公選制に変更する憲法改正案の国会審議をめぐり弾劾にかけられたソムサク前下院議長とニコム前上院議長は立法議会の23日の投票で、反対が賛成を上回り、弾劾を回避した。昨年のクーデターで廃止された2007年憲法は2006年のクーデターで発足した前軍政が作成したもので、タクシン派牽制のため、上院議席の約半数が任命制となっていた。タクシン派は2013年に、全議席を公選制とするよう憲法改正を図ったが、反タクシン派の影響力が強い憲法裁判所により阻止された。

 タイでは2006年以降、地方住民、中低所得者が多いタクシン派と特権階級、中間層を中心とする反タクシン派の抗争が続き、政治・社会が混乱している。反タクシン派はタクシン氏を反王室の腐敗政治家と糾弾し、2006年の軍事クーデターでタクシン政権(2001―2006年)を打倒した。タクシン派は2007年の民政移管選挙で勝利したものの、2008年に「司法クーデター」と呼ばれた裁判所によるタクシン派与党解党で反タクシン派に政権を奪われた。反タクシン派政権下の2009年、2010年には、特権階級が軍官財界を動かし民主主義や法治をねじまげているとして、タクシン派市民が政権打倒のデモを行い、2010年のデモでは治安部隊との衝突で市民、兵士ら91人が死亡、1400人以上が負傷した。

 タクシン派は2011年の下院総選挙で再度勝利し、インラク政権が発足した。しかし、2013年10月から、インラク政権打倒を目指す反タクシン派市民のデモがバンコクなどで拡大。2014年1、2月には数万人がバンコクの主要交差点を長期間占拠した。軍は治安回復を理由に、5月に戒厳令を発令、クーデターでタクシン派政権を倒し、全権を掌握した。

 軍政は当初、両派の和解を目指すとしていたが、政権幹部や立法議会議員の大半を反タクシン派が占めるなど、反タクシン派色が濃厚。タクシン派の官僚、軍・警察幹部のほとんどを左遷する一方、戒厳令による政治活動の禁止、報道統制を続け、タクシン派への圧力を強めている。また、国王夫妻と王位継承者に対する批判を禁じた「不敬罪」による摘発を強化し、王室批判の封じ込めを図っている。

 こうした強権的な手法にもかかわらず、タイの政情は今のところ安定している。タイでは軍事政権が長く続き、軍政に対する国民の拒否感が弱い。また、現軍政を率いるプラユット首相(前タイ陸軍司令官)は率直な物言いなどで人気が高く、軍は政権運営に自信を深めているようだ。今回の前首相弾劾は、タクシン派を刺激しても大事には至らないという判断から実施されたとみられ、軍の自信がうかがえる。

 ただ、タクシン派の地盤である東北部や北部、バンコクの中低所得者層では、軍政が掲げる和解は口先だけで、タクシン派潰しに終始しているとして、軍・反タクシン派への反発がうっ積しているという見方もある。今回、前首相の弾劾を無風で乗り切ったとしても、タクシン派が結束し、来年予定されている総選挙で同派が再度勝利すれば、政争が再燃するのは必至だ。
《newsclip》

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