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タイ軍政 新憲法に仕掛け、政権長期化狙う?

2015年6月11日(木) 00時51分(タイ時間)
【タイ】プラユット首相(前タイ陸軍司令官)率いるタイ軍事政権・反タクシン元首相派が政権の長期化、民政移管の先送りを図る動きが表面化してきた。軍政の長期化は世論の一定の支持を得ているとみられ、民政復帰の日程はますます不透明となってきた。

 軍政は当初、現在作成中の新憲法案を国民投票にかけずに施行する方針だったが、今月9日、憲法案に関する以外の投票項目を加えることを可能にした上で、国民投票の実施を決めた。憲法案は9月中にまとまり、その後、1900万部を印刷して国民に配布、周知し、2016年1月に賛否を問う国民投票を行うという日程が見込まれている。これにより、民政復帰のための総選挙は当初予定の2016年前半から数カ月遅れる見通しだ。

 一見すると、国民投票の実施は政党や世論の反発を考慮したようにみえる。しかし、軍政・反タクシン派は、憲法案に暫定首相を2年置く条項を盛り込んだり、憲法案以外の項目でプラユット政権の継続の是非を問うなどの方法で、政権維持を図る可能性がある。憲法案が否決された場合、軍政は憲法案を新たに起草する方針で、民政復帰は年単位で遅れる。

 任期2年の暫定首相という構想には、軍幹部、反タクシン派から早くも支持の声が上がっている。今月9日には、反タクシン派の僧侶が「暫定首相に賛成する5万人の名簿」を王族のパナダー首相府相に手渡し、プラユット首相に総選挙の延期を呼びかけた。プラユット首相本人は観測気球を打ち上げて世論の反応をうかがっている段階とみられ、政権長期化への明確な姿勢を示していない。

 プラユット首相の進退について、タイ国立開発行政研究院(NIDA)が18歳以上のタイ人を対象に6月8、9日に実施した世論調査(回答者1250人)では、首相が「すでに辞任しているべきだった」との回答が13%、「首相自身が示した改革の行程表に従い、新憲法と選挙関連法案の制定後、辞任すべき」が30・1%、「改革を進めるため、新憲法の制定から2年間、首相を務めるべき」27・3%、「2020年まで首相を務めるべき」18・2%だった。


《タクシン派vs反タクシン派》
 タイでは2006年以降、東北部と北部の住民、バンコクの中低所得者層の支持を集めるタクシン元首相派と、特権階級、南部住民とバンコクの中間層を中心とする反タクシン派の抗争が続き、政治・社会が混乱している。

 反タクシン派はタクシン氏を反王室の腐敗政治家と糾弾し、2006年の軍事クーデターでタクシン政権(2001―2006年)を打倒した。タクシン派は2007年の民政移管選挙で勝利したものの、2008年に「司法クーデター」と呼ばれた裁判所によるタクシン派与党解党で反タクシン派に政権を奪われた。反タクシン派政権下の2009年、2010年、タクシン派は、特権階級が軍官財界を動かし民主主義や法治をねじまげているとして、政権打倒を目指すデモを行い、2010年のデモでは治安部隊との衝突で、市民、兵士ら91人が死亡、1400人以上が負傷した。

 タクシン派は2011年の下院総選挙で再度勝利し、タクシン元首相の妹のインラク氏が首相に就任した。しかし、2013年10月から、インラク政権打倒を目指す反タクシン派市民のデモがバンコクなどで拡大。2014年1、2月には数万人がバンコクの主要交差点を長期間占拠した。5月に入り、軍が治安回復を理由に戒厳令を発令、クーデターでタクシン派政権を倒し、全権を掌握した。軍は当初、両派の和解を目指すとしていたが、タクシン派の官僚、軍・警察幹部のほとんどを左遷し、地方のタクシン派団体を解散に追い込むなど、タクシン派潰しを進めた。今年1月には、軍政が設立した非民選の暫定国会「立法議会」が、「コメ担保融資制度をめぐる職務怠慢」でインラク前首相を弾劾にかけ、前首相の参政権を5年間停止した。
《newsclip》

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