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タイ犯罪事情 癖(へき)と犯罪 (1)犯人が必ず現場に現れる火付け

2015年7月13日(月) 02時58分(タイ時間)
戸島国男 氏の画像
戸島国男 氏
戸島 国雄 氏(警視庁元鑑識捜査官・元似顔絵捜査官・タイ警察現役警察大佐)

 人間は全ての者が癖(へき)を持つ。人間に限らず動物もしかり、例えば競走馬が10頭いれば10頭の癖があり、それはレースに現れる。人間の癖は犯罪にも現れる。そして治るものと治らないものがある。酒癖というのは、酒を飲まなければ癖が出ない。しかし、火付け、性癖、盗癖は治らない。日本とタイのそれぞれの事情を比べながら、癖と犯罪を紹介する。


―犯人が必ず現場に現れる火付け(放火)―

 火付けはほとんどが愉快犯で、火を見て喜ぶ者による犯罪。火を見て喜び興奮し、煙の匂いに刺激を求めるため、犯人は必ず火災現場に現れる。警察は火事が発生すると直ちに現場に駆けつけて写真を撮るが、被写体は火事そのものではなく野次馬、火事を取り囲む人々を徹底的に撮る。連続放火事件など、所轄に関係なく写真をやり取りし、火事現場に必ず現れる人物をあぶり出す。

 最近は防犯カメラの性能が発達しているが、夜間の撮影は暗くて見づらい。撮影はあくまでも写真カメラだ。また、火付けは陽気の変わり目が多く、真夏の火付けは少ない。

 タイは保険金目当ての火付けが多く、愉快犯は少ない。そんな火事でも火元は現場検証で簡単に見つかり、火付けの場合はガソリンを湿らせた布などがすぐに出てくる。火元は一番激しく燃えて何も残らないと思われがちだが、火は常に酸素がある方に移っていき、火元には何かしらの燃えかすが残る。一方、建物の持ち主が保険金を請求しようと「燃えてしまった」と主張する物品の燃えかすは見つからない。完全に燃えて灰と化したとは考えられず、ウソであることがばれてしまう。


〈戸島国雄〉
 1941年1月1日生まれ。千葉県出身。1963年に警視庁入庁。牢番勤務を経て、本庁刑事部鑑識課へ。現場鑑識写真係として計36年間、殺人、強盗、強姦、火災、飛行機、列車事故など数々の事件事故現場を踏む。

 1975年ごろより似顔絵描きを独学し、鑑識似顔絵として捜査に活用。初の「似顔絵捜査官」として、それまで主流だったモンタージュ写真から似顔絵へと、鑑識技術の流れを変える。1995年にはオウム真理教の捜査を担当している。

 1995年11月、国際協力機構(JICA)の技術協力指導員として鑑識技術を伝えるため、タイ警察の科学捜査部に派遣される。技術協力指導員としては極めて異例ながらも、事件の現場に赴いて自ら鑑識活動を実践、検挙率のアップを促す。

 1998年に帰国して警視庁を定年退職するも、タイ警察の要請を受けて2002年に再び来タイ、JICAシニアボランティアとして活躍。以降も警察大佐(日本の警視に相当)の身分で、日本人絡みを含め、多くの事故・事件の捜査に加わる。
《newsclip》


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