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タイ犯罪事情 癖(へき)と犯罪 (2)仕事のストレスとは無縁の性犯罪

2015年7月14日(火) 02時23分(タイ時間)
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戸島国男 氏
戸島 国雄 氏(警視庁元鑑識捜査官・元似顔絵捜査官・タイ警察現役警察大佐)

 痴漢、強姦、幼児へのいたずら、盗撮といった性犯罪は人格とは無縁。下半身に人格はなく、あるのは性欲のみ。日本では裁判官、警察官、教師など社会的に責任ある職業に携わる者の犯罪が目立つが、一般人による犯罪ははるかに多い。固い仕事に就く者による犯罪の方が注目度が高いため、メディアがこぞって取り上げるだけの話だ。

 性犯罪者は逮捕されて刑に服しても、出所すればまた繰り返す。そして犯行手口には犯人の癖が必ず出る。犯人が10人いれば手口は10種となる。警察ではそのような手口を常に記録、コンピュータにかけて分析し、色分けして捜査を進める。例えば黄色に色付けした手口が増えれば、その手口に絞って過去の事件を洗い出し、容疑者を特定していく。

 痴漢は、狙う相手が1人で電車に乗り込む朝方に多い。夕方以降は職場の同僚などと複数で行動することが多いからだ。犯人は満員電車を待ち、一番最後にすっと乗る。これはスリも同様で、潜むのは逃げやすいこともあって圧倒的にドア付近だ。

 タイにも痴漢はある。高架鉄道(BTS)、地下鉄(MRT)、路線バスなどで被害が出ているが、日本のように下着に手を突っ込むといった悪質なものは少ないと思われる。

 民家侵入による強姦は、干してある洗濯物の種類によって、押し入るか否かが判断される。女性の一人暮らしで洗濯物も本人の衣類しか干していない、という部屋が狙われやすい。窓のカーテンを閉めずに室内をウロウロする姿が見えてしまう部屋もそうだ。洗濯物でも窓でも人目に付く部屋に住むこと自体が、不用心といえる。少なくとも洗濯物は、実家の父親のズボンでも何でもぶら下げるなど、防犯意識が必要だ。


〈戸島国雄〉
 1941年1月1日生まれ。千葉県出身。1963年に警視庁入庁。牢番勤務を経て、本庁刑事部鑑識課へ。現場鑑識写真係として計36年間、殺人、強盗、強姦、火災、飛行機、列車事故など数々の事件事故現場を踏む。

 1975年ごろより似顔絵描きを独学し、鑑識似顔絵として捜査に活用。初の「似顔絵捜査官」として、それまで主流だったモンタージュ写真から似顔絵へと、鑑識技術の流れを変える。1995年にはオウム真理教の捜査を担当している。

 1995年11月、国際協力機構(JICA)の技術協力指導員として鑑識技術を伝えるため、タイ警察の科学捜査部に派遣される。技術協力指導員としては極めて異例ながらも、事件の現場に赴いて自ら鑑識活動を実践、検挙率のアップを促す。

 1998年に帰国して警視庁を定年退職するも、タイ警察の要請を受けて2002年に再び来タイ、JICAシニアボランティアとして活躍。以降も警察大佐(日本の警視に相当)の身分で、日本人絡みを含め、多くの事故・事件の捜査に加わる。
《newsclip》


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