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中国:経済成長が「新常態」入り、構造改革の痛みは隅々に

2015年7月23日(木) 10時04分(タイ時間)
【中国】経済成長率の鈍化が「ニューノーマル(新常態)」となるなかで、中国当局は「製造大国から製造強国への転換」などをスローガンに掲げ、構造改革を推し進めるスタンスを鮮明に打ち出している。

 変革には痛みがともなう。国営メディア、新華社の記者が各地での取材を通じ、改革の痛みに耐えている人々の姿を取り上げた。統計や経済指標だけでは読み取れない中国経済の実情が映し出されている。

 構造転換は長期にわたる苦しい戦いだ――。こう語ったのは、河北省唐山市の発展改革委員会・産業協調処の卞明江・処長。鉄鋼過剰生産能力の削減で責任者を務めている。2008年の世界金融危機以降、4兆人民元の大規模景気対策で生まれた巨大な需要にけん引され、唐山市の鉄鋼産業は急成長。ピーク時の年産能力は1億5000万トンまで膨れ上がった。しかし、河北省当局は13年9月に「大気汚染抑制・防止行動計画」を発表。鉄鋼生産能力の大幅削減が決まった。削減目標は17年までに省全体で6000万トン、うち唐山市だけでも4000万トンに上る。

 卞処長によれば、全国基準では、炉容積300立方米以下の高炉、30トン以下の転炉が淘汰・廃棄の対象。一方、唐山市は1000立方米以下の高炉、60トン以下の転炉をすべて閉鎖させるという。命じられた4000万トンの削減目標を達成するため、より厳しい淘汰・廃棄の独自基準を導入せざるを得ない状況だ。「いま閉鎖しているのは、ほかの省なら稼働できる工場ばかり」と嘆きながらも、市政府の責任者として生産施設の統合や移転を主導する立場だ。

 閉鎖された工場で働いていた従業員の再就職も懸念される。卞処長は、「1年もあれば工場数軒の解体は終わるが、鉄鋼の代替となる産業の形成はそう簡単にはいかない」と話す。小規模の工場でも従業員は2000~3000人に上るという。

 経営モデルの転換を迫られた労働集約型の中小企業も苦境に陥っている。「物が売れない。仕入れ代金が払えない。取引先から売掛金も回収できない」――。30年前から湖南省でアパレル工場を営んできた王さんは、ここ数年で経営が急激に悪化している実態を記者に話した。一昨年から受注の落ち込みが顕著になり、今年に入ってからはさらに生産量と利益が前年比で半減しているという。

 「いまは人員削減やコスト削減でかろうじて耐えているけれど、賃料や利息も稼げなくなったら商売をやめるしかない」と、王さんは無念さを露わにした。
《亜州IR株式会社》

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