加藤 高茂登 氏 (Managing Director)
顧客の9割が日系企業 タイで最高品質の製品づくり
異なる「顔」 紙は「生きもの」
――御社概要をお聞かせください
バンコク西岸のエカチャイ通りで数十年営まれてきた、家族経営による紙加工工場が弊社の前身です。私自身は1966年以降、度重なるタイ駐在でさまざまな事業に携わり、同オーナー一族とは公私共々40年以上の付き合いを続けておりました。その一族の一人が暖簾(のれん)分けしたことを機に2002年、共同出資で弊社を設立しました。
親工場の業務と顧客の一部を引き継ぎ、紙管の製造から始まりました。8年前に現在の工場を立ち上げて業務を拡充、紙ボビンの製造にも乗り出しました。製造量としては今や紙ボビン関連7割、紙管・スリット3割の比率です。
――紙管や紙ボビンというのは?
例えば食品包装用ラップやアルミホイル、接着テープやトイレットペーパーを巻く芯が紙管です。紙ボビンは紙管の両わきにサイドボードを備え、その名のとおり糸を巻くボビンの形をしています。紙管と同様の用途で、多くは業務用として使われます。
内径8ミリから200ミリまでのサイズに対応しておりますが、ご注文の多くは50ミリから90ミリまでのサイズに集中。ラップやアルミニウム、電子機器用プリント配線に使用するフイルム、テントのシート、スーパーやデパートなどでの買い物に使うプラスチック袋、各種テープなどの巻き取りで、弊社製品をご利用いただいております。
消費者からすれば巻き付けてあるものが必要であって、決してその芯を買い求めるのではありません。無料であっても何ら違和感のない紙管や紙ボビンですが、そのような製品にも技術やノウハウが凝縮されているのです。
――製品づくりでどのような苦労をされていますか?
原材料はクラフト紙ですが、タイは日本と比較して種類が少なく、クラフト紙もダンボール紙もほとんど同じものとみなされています。紙は一平方メートル当たりのグラム数によって種類分けされますが、一般的にタイのクラフト紙は日本のそれと比較して密度が低いため、同じグラム数でも厚めです。そのような「顔の違い」を熟知し、紙管や紙ボビンの加工を工夫していかなければなりません。
また、紙は「生きもの」です。温度と湿度によって方向性をもってカールしたり(反ったり)収縮したりします。温度や湿度はもちろん、少々の水濡れでも反らないよう、どのように紙を選択してどのように 合紙( 貼り付け)していくかに、技術とノウハウが求められます。 また、紙管も収縮は避けられません。安易に出荷せず、収縮を止めてからお届けすることにしています。弊社では常に9―10種類のクラフト紙を仕入れ、お客様のニーズに合わせて組み合わせていきます。
紙粉皆無、バクテリア検査にも合格
――品質維持のための取り組みは?
弊社製品の製造機械はほとんどが、基本設計からのオーダーメイドで特注加工機械です。例えば、紙ボビンの紙管とサイドボードはキャップという成形品で貼り合わせますが、手作業から始まって3年がかりで特注機械を導入しました。今後も用途に合わせて機械を特注、順次導入していく計画です。
また何よりも、工場を清潔に保つことが重要です。紙管や紙ボビンは食品関係で多用されます。紙くずはおろかどんなに小さな紙粉であっても衛生に影響を及ぼすので、いかなる付着も許されません。
タイはとかく仕事が分担され、掃除は掃除係に任せっきりという職場が多く見られますが、弊社では各自が掃除に責任をもち、それぞれの作業スペースを清潔に維持しています。工場は明るくなければ、細かいところまで目が届きません。弊社は屋根からの採光で十分な明るさを保っておりますが、このような作業体制を整えるまでに数年かかりました。
――衛生面は特に気を使うのではないでしょうか?
紙くずや紙粉のみならず、虫の付着などにも気を付けなければなりません。作業員は手を消毒して作業に当たっています。
弊社のお客様は90%が日系企業で、食品関係も多くいらっしゃいます。お客様の工場でバクテリア検査を受けたこともありますが、これまで無事に合格しております。
――他社製品との価格差は?
タイ地場のお客様から高いと言われることは決して少なくありません。価格は10%違うだけで、お客様はそちらに流れてしまいます。しかし、「質には変えられない」と戻ってきてくださるお客様もいらっしゃいます。
クラフト紙自体に品質と価格の差があり、良い原材料を仕入れている分だけ、原価もかさみます。接着剤も、環境や人体への影響を考慮して水溶性を使用。安価な製品と比較すると、仕入れ値はキロ当たり数十バーツの差です。安いだけが取り柄の製品は、いずれ問題を引き起こします。
競合他社は数多く存在しますが、お客様のニーズに的確に応えられる製品を作るメーカーとして、弊社は高い評価を得ております。紙ボビンに至っては、タイでは同業他社が見当たらず、競合はないように思われます。
弊社製品は、お客様の工場で製品を巻かれ、タイ国内のみならず日本や米国など海外にも出荷されます。海外工場が建つ中国で良い製品が見つからないとのことで、弊社製品をタイから送ってくださるお客様もいらっしゃいます。
――今後について
紙管は付加価値の乏しさが否めない製品ですが、その付加価値を高めたのが紙ボビンであり、今や弊社の主力製品です。今後も紙ボビンを中心に付加価値の高い製品を数多く開発していきたいと思っております。
売り上げ的には、30―40%増で現工場の生産稼働率を満たす計算です。早い段階でそこまで引き上げ、さらなる拡張を目指します。
紙は人類と切っても切れない関係で、何千年もの歴史をもつ「文化」です。紙管や紙ボビンなど目立たない存在ですが、真に品質を求めるメーカーさまからご連絡いただきたく、「縁の下の力持ち」としての誇りを持って事業を継続していく所存です。
――ありがとうございました
住所:21 Soi Korat, Ekachai-Bangbon Rd., Bangbon, Bangbon, Bangkok 10150
電話:0-2892-3875, 0-2892-2167, 084-941-1234(加藤) ファクス:0-2453-0527
Eメール:takamotokato@mrskato.com ウェブサイト:www.mrskato.com
紙加工業(紙管、紙ボビン、合紙、スリット層間紙) M.R.S. KATO CO., LTD.
2015年7月24日(金) 00時27分(タイ時間)
《newsclip》
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