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中国:地下住民の立ち退きに燻煙殺虫剤、「お前たちはネズミだ!」

2015年8月18日(火) 01時28分(タイ時間)
【中国】3つの王朝の帝都だった北京市は、中国経済の発展にともない、高層ビルが立ち並ぶ現代的な都市に変貌。新しい都市景観が誕生する一方で、その裏では古い建築物が撤去され、住民は立ち退きを余儀なくされるという寂しい光景も生まれている。

 立ち退きをめぐっては、行政や開発業者が反対派住民に高圧的な姿勢をとり、暴力事件に発展することもある。こうしたなか、北京市の再開発の波は地下にも拡大。中央政府の御膝元でありながら、人目が届きにくい地下だけに、住民の立ち退きをめぐり、非人道的な行為も起きている。これを問題視した記事を地元紙「新京報」が12日付で報じた。

 中国の首都には、地下に住む人々がいる。戦後の東西冷戦や中ソ対立で核戦争の危機が高まるなか、中国の大都市にはたくさんの防空壕が設けられ、一部は商業施設や住宅として使用。高層住宅が立ち並ぶ北京市の望京西園にも、防空壕を兼ねた地下居住区があり、ここを賃借して暮らす人々がいる。

 その望京西園の地下室で8日と9日の夜、黒い制服を着た20人余りの男たちが地下室に乱入。地下室のドアをゴム製の棍棒でたたいたり、蹴ったりして回った。さらに下水道を住民に使わせないため、たくさんの石をトイレに投げ入れ、「地下室に住むのは人じゃない。ぜんぶネズミだ」と叫びながら、ゴキブリ駆除用の燻煙殺虫剤に点火。これが原因で、体調不良を訴える住民もいるという。

 「お前たちはいったい何者だ」と住民が抗議したところ、一人だけTシャツを着たリーダー格の男が、「お前たちを片付けに来た者だ。話があるなら、街道弁事処に来い」と答えた。なんと男たちの雇い主は、政府の出先機関である街道弁事処だった。

 事件の舞台となった望京西園の地下室は、防空施設の整理計画に組み込まれており、北京市政府は今月20日までの住民の立ち退きを要請していた。街道弁事処は朝陽区当局と協力し、地下住民の移転作業を進めており、その実行部隊として警備会社から男たちを雇ったという。

 今回の事件を受け、地下室の住民40人余りが11日に街道弁事処を訪れ、立ち退きまでの期限を延長するよう訴えた。住民によると、立ち退きが通知されたのは今月5日のことであり、移転先を見つけるには時間が足りないそうだ。

 これに対して街道弁事処は、立ち退きの通知は昨年から張り出され、早くから住民に知らせていたと主張。燻煙殺虫剤の使用は“無傷”で警告することが目的であり、街道弁事処は朝陽区当局に協力しただけと弁明し、事件の責任を免れようとする姿勢を示している。

 弁護士によると、防空施設の整理計画は法に基づく行為だが、燻煙殺虫剤の使用などは不適切。住民の訴えが事実であれば、男たちの言動は侮辱行為であり、生活権の侵害に相当する。また、「治安管理処罰法」にも抵触する可能性があり、住民は警察に通報することも可能。さらに街道弁事処にも男たちの行為に対する連帯責任があると指摘している。
《亜州IR株式会社》

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