RSS

中国:上海市の住宅区、老人ホーム建設に住民が猛反対

2015年8月19日(水) 10時29分(タイ時間)
【中国】上海市のある住宅区で、老人ホームの建設計画に対し、周辺住民が猛烈な反対運動を引き起こした。

 住宅区のあちらこちらに「建設反対」の横断幕やポスターが張り巡らされ、なかには老人施設を「死人院」と貶すものまである。住民らは老人ホームが住環境を破壊し、自宅の資産価値を落とすと主張。この反対運動がメディアに取り上げられ、大きな波紋を呼んでいる。中国政府系メディアが伝えた。

 老人ホームの建設予定地は同市楊浦区の住宅区「心儀雅苑小区」に隣接する場所。PPP(官民連携)方式で、ベッド数291床の高齢者向け施設を整備する計画が今年3月から進められている。しかし、住民らの強い反対を受け、工事は5月に中断を余儀なくされた。

 反対運動の発端は、施設に遺体安置室が設けられるとの噂が流れたことだ。住宅区には269世帯が入居しており、うち240世帯がすでに建設反対を表明。その理由として、◆遺体安置室の存在が生活環境や気分を害する、◆これで住宅区の物件価格が下がる恐れがあり、住民が経済的損失を被る――の2点が挙げられた。

 老人ホームの運営企業は、住民らの説得に乗り出した。「遺体安置室を設置する予定はない」との告知を貼り出し、噂を否定。しかし、それでも反対運動は収まる気配もない。“老人臭が嫌”、“老人の呼吸で病原菌が空気中に飛散する”、“要介護の老人を毎日目にしたらストレスがたまる”――など、老人ホームを中傷する言論が後を絶たない状況だ。

 中国政府は民間資本を導入し、住宅区周辺に小規模な高齢者向け施設の整備を推し進める立場。背景にあるのは、高齢化社会の進行で高齢者向け施設の不足が深刻化する一方、既存施設の入居率が低水準にとどまっていることだ。先ごろ発表された調査リポートによれば、中国全体で高齢者向け施設の空きベッド率は48%に上っている。老人ホームや介護施設の多くは郊外に整備されているのが現状。慣れ親しんだ生活エリアから遠く離れることを高齢者が懸念し、入居率を引き下げる要因の一つとされている。

 しかし、住宅区での施設整備をめぐっては、住民の理解を得るのが容易ではない。今回の事例にとどまらず、江蘇省などほかの地域でも老人ホームの建設に住民が反対する騒ぎが起きている。中国老齢化学研究センターの王莉莉・副所長は、住民の懸念に一定の理解を示しつつも、制度整備や政策支援の強化を呼びかけた。
《亜州IR株式会社》

注目ニュース

【中国】土地使用手続きに問題がある――などという理由で昨年に営業停止した広東省広州市の“セレブ老人ホーム”がこのほど営業を再開した。



新着PR情報