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中国:珠江デルタで倒産ラッシュ、人件費上昇と資金繰り難で

2015年11月3日(火) 13時22分(タイ時間)
【中国】「世界の工場」と称されてきた広東省の珠江デルタ地域で、企業の倒産ラッシュが起きている。

 輸出向け製造業を中心に発展した同エリアだが、足元では人件費の上昇が進行。東南アジア製品に比べて、コストパフォーマンスが落ちた。さらに、不良債権化を回避しようと、各銀行が債権回収に動き出したことで、中小企業を中心に資金繰りが悪化。経営が圧迫されている。毎日経済新聞が2日付で伝えた。

 これまでに報道された案件だけでも、珠江デルタ地域では今年に入って76社が工場を閉鎖した。そのうち東莞市で3分の1に相当する27社を占めている。業種別では、セラミック、家具、繊維・アパレル、玩具、紙製品、エレクトロニクス、LEDの7分野に集中。いずれも労働集約型業種に属した。

 人件費の上昇が重し。同エリアでは、企業の人件費コストが08年比で2倍に跳ね上がった。広東省広州市を例にみると、最低賃金は08年の月当たり860人民元から、足元で1895人民元(↑120%)に上昇した。東莞、仏山などでも月当たり700人民元→1510人民元(↑115%)に引き上げられている。

 人件費の上昇は、中国製造業全体に浸透している現象だ。ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)は今年8月に発表したリポートで、「中国の足元の製造コストは、米国の水準と大差ないレベルに上がった」と報告。米国を100とした場合、中国の製造コストは96の水準にあると紹介している。

 また珠江デルタ地域では、中小企業を中心に、資金繰りが一段と悪化した。企業経営に問題があると判断し、銀行が返済期限を待たずに債権の回収に動き出していることが背景だ。珠江デルタのアパレル企業関係者は、「我々中小企業にとって、銀行からの融資獲得は、08年の金融危機時よりさらに難しくなっている」と吐露。足元の倒産ラッシュの多くは、資金繰りの悪化が要因で起きたものだとする認識を示した。「もし銀行融資を得られていれば、なんとかやっていけるはずだ」と窮状を訴えている。

 銀行から融資を得られない中小企業は、民間の高利貸しから資金を調達せざるを得ない。金利は銀行の5~10倍の水準にあり、たとえ当面の運転資金を確保できたとしても、高額の金利負担を抱えることになる。人件費の上昇を背景に採算性が落ち込む中で、資金繰りが悪化する“負のスパイラル”に陥っている状況だ。
《亜州IR株式会社》

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