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中国:「人口ボーナス消失」の広東省東莞、構造転換で停滞打開へ

2015年11月16日(月) 16時11分(タイ時間)
【中国】「世界の工場」の中心的な場所となってきた広東省・東莞市に異変が起きている。

 企業の撤退、倒産、オーナー失踪――といったネガティブなニュースが今年に入って頻発に飛び交うようになった。人口ボーナスがもたらす大量の出稼ぎ労働力に支えられてきた東莞市。人件費の安さがその最大の武器だった。しかし企業は足元で、人件費の高騰が重しに。労働集約型ビジネスに限界がみられる状況だ。しかしこうした中でも、同市に留まることを選択する経営者が存在する。彼らは転身を遂げようとする東莞市に溶け込もうとしている。"厳寒の冬"を迎えながらも、"春"を迎えるためのエネルギーを蓄えている段階といえる。北京青年報が13日付で伝えた。

 企業の撤退が相次いでいる中でも、東莞市寮歩鎮に工場を構える「源開キン(森の形に金が3つ)精密五金実業の李志強・董事長は、市内に留まることを決意した。3年前までは東莞市の企業に勤務していたが、この企業が外部移転したことを機に自身で会社を興した。新設企業は、光通信部品を生産。数千平米の工場内に、30台の大型精密加工旋盤が整然と並ぶ。工場内で働くスタッフは、技師、管理者など10人程度と少ない。昼と夜の2交替制で、1班当たり5人程度で業務に当たっている。技師2人、一般作業員3人の構成で、月給は技師が8000~1万2000人民元、一般作業員が3500~5000人民元だ。

 人的労働力は少ないながらも、最新機器を導入することで、生産効率を高め、より良い採算性を実現。香港を中継拠点に、海外販路も確保した。李董事長は「資金さえあれば、設備を増設して生産規模を拡大できる。販路も問題ない」と述べ、自社の将来性に自信を示した。

 国外経済の分析を得意とする李董事長は、「東莞が転身を図るためには、高精度・最先端の道を行くしかない」と言い切る。「製造業の動揺は今後しばらく続く。外向型経済を貫いてきた東莞は、国際経済の影響を免れない。欧米国家が経済低迷から脱却できない今、中国製造業への影響は不可避だ」との認識。「労働力コストのメリットがなくなれば、これまでのローエンド産業は市場淘汰を免れない」と予告した。

 その上で、汪洋・広東省委員会書記が数年前に打ち出した「騰籠換鳥」という産業構造戦略が広東省で実践されている現実を指摘した。「騰籠換鳥」とは、ローエンド産業(「籠」=既存枠組み)を省外に出す、または淘汰し、ハイエンド産業(「鳥」)に転換させるという意味。事実、広東省では、一部の産業で撤退が加速する一方、ハイエンド産業が伸びてきている。スマートフォン、光通信、医薬・医療機器などの先進産業が成長するなか、東莞市の工業生産額は今年、依然として落ち込んでいないという。

 東莞市に留まる企業オーナーらはみな、「世界の工場」である同市で進行する産業構造転換を受け入れている。彼らは皆、東莞市が人口ボーナスによって急成長を遂げた20年前に戻ることはないことを熟知。「今の東莞市に適応し、構造転換時代を受け入れること」に力を注いでいる。
《亜州IR株式会社》


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