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中国:“チキンレース”状態の鉄鋼業界、赤字経営でも減産せず

2015年11月19日(木) 14時16分(タイ時間)
【中国】中国の鉄鋼業界で、赤字経営を強いられながらも、減産を回避してフル稼働生産を続ける――という怪現象が起きている。

 短期的な需要回復が見込めない状況下で、業界が生き残るために取るべき道は減産だ。実際、損失が著しい一部鉄鋼メーカーの間では、減産や操業停止の動きがある。しかし、業界全体でみればその規模は限定的。資金繰りが苦しいにもかかわらず、多くのメーカーが生産を続行。「他社が倒れるまで突っ走る」といった“生き残りチキンレース”の状態に陥っている。中国証券報が16日付で伝えた。

 業界全体が赤字に陥る中でも、大規模な減産が進まない理由は2つある。まず負債率が高い鉄鋼メーカーにとってみれば、生産ラインの運転を維持することは安定したキャッシュフローを得るための必須条件。これによって、銀行からの融資枠が保証されるためだ。さもなければ、資金チェーンが断裂し、破産・再編の道を一気に歩むことになる。2つ目は、鉄鋼業の地方経済への寄与が大きい点。鉄鋼メーカーは、地元経済のGDP(域内総生産)や地元政府の税収、雇用市場を支える立場にあり、倒産すればそのインパクトは甚大だ。損失を抱えてでも生産活動を続行せざるを得ない状況にあるという。

 中国鉄鋼業界を取り巻く環境は、足元で一段と悪化している。中国景気の減速で鉄鋼需要が後退。供給過剰が進行し、鋼材価格は今年に入って30%も下落した。鉄鋼メーカーでは、生産コストと販売価格の逆ざやが常態化。不良債権化を回避しようと、各銀行が債権回収に動き出したことも追い打ちとなって、資金繰りが極度に悪化している。

 実際、中国鋼鉄工業協会によると、銀行は鉄鋼企業向け融資を絞り始めている。同協会に所属する主要鉄鋼メーカーの銀行借入額は、今年9月末時点で前年同期比2.02%減少。一方で資金調達コストは、2.69%増えたという。

 すでに債務超過に陥った鉄鋼メーカーも散見される。鉄鋼専門サイト「我的鋼鉄」が行った抜き取り調査によると、調査対象67社の負債率は、平均で68.35%の高い水準に上昇。負債率が100を超える企業も5社確認された。

 こうしたなか、泥沼に陥っている鉄鋼業全体に警鐘を鳴らす出来事が起きた。国有鉄鋼商社の中国中鋼集団公司(サイノスチール)は10月、社債利払いを延期すると発表した。鉄鋼関連企業で初の社債デフォルト案件として、このニュースは業界全体に波紋を広げている。

 ある業界関係者は、「景気低迷が続く中で鉄鋼商社を襲った『資金チェーン断裂」」の波は、ついに鉄鋼メーカーの目前にまで到達している」と警戒感をあらわにする。「2年前にみられた鉄鋼商社の倒産ラッシュは今後、鉄鋼メーカーでも生じる可能性が出てきた」と悲観した。
《亜州IR株式会社》

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