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タイと米国 人権、不敬罪めぐりギクシャク

2015年12月1日(火) 15時47分(タイ時間)
【タイ】昨年5月のタイの軍事クーデターで冷却化したタイと米国の関係が、人権問題をめぐり、さらにギクシャクとしてきた。

 発端となったのは、タイに滞在していた中国人の活動家、董広平さんと姜野飛さんのタイ軍事政権による中国への強制送還だ。2人は国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の難民指定を受け、第3国に出国する予定だったが、10月下旬、不法滞在でタイで逮捕され、11月半ばに中国に送還された。2人は中国で処罰される可能性が高く、国連や米国政府がタイに対し、深い失望、懸念を表明した。

 タイ軍政は今年7月にも、不法滞在で逮捕した中国籍のウイグル族109人を中国に強制送還し、国際社会の批判を浴びた。

 9月下旬に着任したグリン・デイビス駐タイ米国大使は11月23日、タイ軍政の実力者であるプラウィット副首相兼国防相(元タイ陸軍司令官)と会談した際に、中国への強制送還に対する米政府の懸念を伝えた。タイ側はこれに対し、活動家2人が難民指定を受けていたことを知らなかったなどと主張した。

 関係悪化をさらに加速させたのが、タイの不敬罪をめぐるデイビス大使の発言だ。

 タイの不敬罪は国王夫妻と王位継承者に対する批判を禁じたもので、1件につき最長15年の禁錮刑が科される。軍政は不敬罪による取り締まりを強化し、それ以前の民選政権下で問題とされなかったケースも遡って摘発し、軍法会議での短期の裁判で、次々と実刑判決を下した。刑期が20年を超える判決も度々あり、国連、欧米諸国が強い懸念を示している。

 デイビス大使は25日にバンコクで記者会見した際に、この問題に言及し、「平和的に意見を述べただけで投獄されるべきではない」、「軍法会議が一般市民に不敬罪で長期刑を科すのを懸念している」などと述べた。

 この発言に、タイ軍政の支持基盤である王党派が強く反発し、27日、バンコクの米国大使館前で大使の解任を求めるデモを行った。プラウィット副首相兼国防相は「大使は話す前に考えるべき」と述べ、強い不快感を示した。

 デイビス大使は30日の記者会見で、不敬罪についての言及を避ける一方、、早期の民政復帰を期待すると述べ、タイ軍政との関係改善が困難という考えを示唆した。タイが加盟に前向きな姿勢をみせている環太平洋経済連携協定(TPP)については、歓迎するとしたものの、加盟には、タイが抱える強制労働、人身売買などの問題を解決する必要があると、釘を差した。タイ軍政が中国への傾斜を強めているという指摘については、中国に接近していることを懸念していないと述べた。
《newsclip》

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