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不敬罪・汚職疑惑でタイ軍政に動揺 タクシン派と対立激化も

2015年12月1日(火) 18時06分(タイ時間)
ラーチャパット公園の画像
ラーチャパット公園
写真提供、タイ陸軍
【タイ】タイ軍事政権が力を入れているのが、王室護持に向けた不敬罪の取り締まりと、政権になにがしかの正統性を与える汚職の摘発だ。しかし、こうした捜査を進めるうちに、身内の軍内部に不敬罪絡みの汚職疑惑が浮上し、自分で自分の足を撃つ格好となった。

 汚職疑惑が浮上したのは、中部フアヒンのクライカンウォン宮殿近くの浜辺に軍が建設したラーチャパット公園と、12月5日のプミポン国王誕生日を記念して軍政が11日に開催するサイクリングイベント「バイク・フォー・ダッド」。いずれも軍・警察幹部による収賄、「寄付」の強要などの疑惑が強まっている。

 ラーチャパット公園は今年8月に開園した。名君とされるタイの歴代国王7人の巨大な青銅像が海に向かって立つ。王室に対する軍の忠誠心を象徴する公園となるはずだったが、建設をめぐり、軍幹部が王室の名をかたり、建設業者に「寄付」を強要した疑いが浮上した。プロジェクトの責任者だったウドムデート副国防相(前陸軍司令官)は先月20日、疑惑を否定。しかし、副国防相の側近だったスチャート陸軍少将とカチャチャート陸軍大佐に不敬罪で逮捕状が出た上、カチャチャート大佐が10月末に出国して、行方不明となったことが明らかになり、軍政は24日、疑惑を国防省が再調査することを約束した。

 軍政と対立するタクシン元首相派の中核団体UDD(通称、赤シャツ)はこの機を逃さなかった。ウドムデート副国防相の辞任を要求するとともに、幹部のナタウット元副商務相とジャトゥポン元下院議員が30日、支持者を連れ、ラーチャパット公園の視察に向かった。軍政は途中で2人の身柄を拘束、連行し、同日夜に解放したが、UDDの思惑通り、疑惑への注目を集め、軍政の強権ぶりを印象づける結果となった。

 一連の疑惑のそもそもの発端は、昨年12月にタイ王室を離脱したシーラット・スワディー元皇太子妃の関係者多数が逮捕、投獄された事件だ。スワディー元妃の関係者では、昨年11月下旬から、両親、姉、兄弟、元侍従長、おじのポンパット元警察庁中央捜査局長(警察中将)、義兄のコーウィット元警察庁サムットサコン県入国管理事務所長(警察大佐)らが不敬罪、収賄、資金洗浄などで逮捕され、実刑判決を受けて服役中。ほかにもポンパット中将らにつながる警察幹部、民間人数十人が不敬罪や恐喝などで逮捕、投獄された。司法当局によると、ポンパット中将らは違法カジノや石油密輸業者などから多額の賄賂を受け取っていたほか、昇進を希望する警官に警察ポストを販売し、多額の金銭を得ていた。また、賄賂を要求する際、王室関係者の関与をほのめかした。監禁、恐喝などにも手を染めていたとみられる。

 今年10月には、著名な占い師のスリヤン(通称モーヨーン)容疑者とパラークロム警察少佐が不敬罪容疑で逮捕され、軍基地でこう留中に相次いで死亡した。パラークロム少佐は10月下旬に首を吊ったとされる。スリヤン容疑者は敗血症が死因と発表された。2人は王室の名をかたり、実業家から「寄付」を脅し取っていたとされるが、詳細は不明。2人の死亡後も、警察、軍の高官に不敬罪容疑で逮捕状が出たり、停職、解任処分が出る事例が相次いでいる。

 不敬罪による摘発はタクシン派にも向いている。ラーチャパット公園をめぐる疑惑が浮上した11月中旬、プラユット首相(元陸軍司令官)とプラウィット副首相兼国防相(元陸軍司令官)の暗殺計画が存在するといううわさが流れ始めた。軍政は、東北部コンケン県のUDDが武器を集め騒乱を起こそうとしていると主張し、30日までに、不敬罪などの容疑でUDDメンバー9人の逮捕状をとり、このうち5人を逮捕した。ただ、容疑者の1人は昨年から服役中で、UDDは、一連の逮捕は、軍政が自らの汚職問題から目をそらさせるためのでっち上げだと主張している。
《newsclip》


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