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人身売買事件捜査のタイ警察高官、オーストラリアに亡命申請か

2015年12月13日(日) 02時56分(タイ時間)
ジャカティップ・タイ警察長官の画像
ジャカティップ・タイ警察長官
写真提供、タイ警察
【タイ】ミャンマーのイスラム教徒少数民族ロヒンギャ族などの人身売買事件の捜査を指揮したパウィーン元タイ警察第8管区副司令官(警察少将)が、人身売買組織に命を狙われているとして、警察を退職、オーストラリアに政治亡命を申請する考えを示し、物議を醸している。

 タイでは今年4月末から5月上旬にかけ、マレーシア国境に近い南部のソンクラー県とサトゥン県の山中で、ロヒンギャ族の人身売買の拠点とみられるキャンプ跡地が70カ所以上みつかり、ロヒンギャ族とみられる約300人が保護された。キャンプ跡地には木を組んでビニールシートをかけた建物や衣類などが残され、30人以上の遺体が埋められていた。人身売買の被害者数千人が収容され、このうち、病死したり、人身売買業者に殺害された人が遺棄されたとみられている。

 パウィーン少将はこの事件の捜査を任され、9月までに、マナット・タイ陸軍中将、パチュバン元サトゥン県行政体長ら153人の逮捕状をとり、91人を逮捕。このうち88人が起訴され、11月に裁判が始まった。

 事件の捜査は警察上層部の判断で9月に打ち切られた。パウィーン少将は捜査継続を主張したが、受け入れられず、さらに、事件の舞台となったタイ深南部への転任命令を受けた。少将は、深南部は軍人、警官を含む人身売買組織の拠点で、転任すれば殺害されると訴え、辞表を提出。12月6日付で退職した。直後にオーストラリアに渡り、豪ABCテレビと英紙ガーディアンのインタビューに応じ、「軍事政権の高官に捜査を妨害された」、「私を深南部に転任させようとしたということは、私を殺したいということだ」、「悪い軍人、警官が権力の中枢にいる」などと語った。事件の裁判については、犯人が処罰されずに終わる可能性があるという見通しを示した。また、タイに帰国する意思がなく、オーストラリア政府に政治亡命を申請する考えを示した。

 タイ警察のジャカティップ警察長官(警察大将)は11日、記者会見を開き、「パウィーン少将の異動に不正な点はなかった」、「昇進できずに失望したのでは」などと反論。「(パウィーン少将の)こうした発言は国に損害を与える」と批判し、少将を名誉棄損で訴える方針を示した。

 ロヒンギャ族はもともとミャンマー西部に居住していたが、1970年代後半から、ミャンマー政府による迫害と貧困を逃れ、数十万人が難民としてバングラデシュなどへ脱出した。2007年ごろからは、タイ、マレーシアに船で密入国を図るケースが増えている。タイ政府は過去数年、領海内に入ったロヒンギャ族の難民船を沖に曳航して置き去りにしたなどとして、欧米の人権保護団体やメディアから批判された。

 タイ当局によると、今回明らかになった人身売買組織は、ロヒンギャ族などをミャンマー、バングラデシュから陸路、海路でタイに密入国させ、タイ南部の収容キャンプを経由し、奴隷として漁船に売り払ったり、イスラム教徒が多いマレーシア、インドネシアに送り込むなどしていた。密入国の手数料をとっていたほか、キャンプに収容した被害者に追加の金を支払うよう脅し、暴行を加えるなどした。

 タイで取り締まりが本格化したことを受け、組織は証拠隠しのため、キャンプを放棄し、被害者を置き去りにしたとみられる。タイ、マレーシア、インドネシアでは、5月中旬に、人身売買組織が放棄したとみられるロヒンギャ族の難民船が相次いでみつかった。
《newsclip》

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