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タイ軍政首相「来年総選挙」 国民投票で憲法案否決でも

2016年1月28日(木) 01時30分(タイ時間)
プラユット首相(26日)の画像
プラユット首相(26日)
写真提供、タイ首相府
【タイ】タイ軍事政権のプラユット首相は26日の記者会見で、軍政が作成中の新憲法案が国民投票で否決された場合も、予定通り2017年7月に総選挙を実施すると述べた。

 首相は「(否決された場合に)備えた計画がある」と述べたが、具体的な方法には言及しなかった。暫定憲法で選挙を実施し、恒久憲法の制定は次の民選政権に委ねるという方法が考えられるが、その場合、選挙に強いタクシン元首相派が政権を握る可能性が高い。軍政とその支持基盤である特権階級は国政からタクシン派を閉め出すことに力を入れてきただけに、こうしたシナリオは避けたいところで、起草中の憲法案を国民に受け入れやすい内容に調整し、国民投票による可決を目指すと予想される。

 プラユット首相は陸軍司令官当時の2014年5月にクーデターでタクシン派インラク政権を倒した。その後発足した軍政は、新憲法を制定し、2015年後半に民政移管の総選挙を実施するという政治日程を示した。しかし、軍政は民主主義を制限する内容の新憲法案を起草した上、2015年9月、自らこの憲法案を否決。起草作業を振り出しに戻すとともに、2017年7月に総選挙を行うという新たな日程を示した。

 タイではクーデターなどで度々憲法が廃止され、その度に新しい憲法が制定されてきた。1997年には、選挙で選ばれた憲法議会を通じて作成された新憲法が施行され、初の国民参加型で最も民主的な憲法との評価を受けた。この1997年憲法は、2006年の軍事クーデターでタクシン政権(2001―2006年)を打倒した軍部により破棄された。軍政下の2007年に制定された新憲法は、議会上院のほぼ半数を非民選とするなど、特権階級の政治介入を制度化し、政党の力を殺ぐ内容となった。この憲法も2014年のクーデターで破棄され、現在は軍部が実質的に全権を握る暫定憲法が施行されている。

〈タイ政局の主な動き〉
■2001年
警察官僚から実業家を経て政界入りしたタクシン氏が率いる政党が議会下院選で勝利。タクシン氏が首相に。
■2005年
任期満了にともなう下院選でタクシン派政党が議席の75%を得て圧勝。タクシン首相が2期目。
■2006年
反タクシン派がバンコクで大規模なデモ。タクシン首相が下院を解散、総選挙に踏み切るが、反タクシン派の民主党がボイコット。憲法裁判所が選挙無効の判決。9月に軍事クーデターが発生し、タクシン政権崩壊。
■2007年
軍事政権が民主主義を制限した新憲法を制定。民政移管のため実施された下院選で2代目タクシン派政党が勝利。タクシン派政権発足。
■2008年
反タクシン派デモ隊がバンコクの首相府、スワンナプーム空港などを占拠。最高裁判所が選挙違反でタクシン派政党を解党し、政権崩壊。民主党を中心とするアピシット連立政権発足。
■2010年
バンコク都心を占拠したタクシン派デモ隊を軍が鎮圧。90人以上が死亡、約2000人が負傷。
■2011年
下院選で3代目タクシン派政党が勝利。タクシン氏の妹のインラク氏が首相に就任。
■2013年
インラク政権・与党がタクシン派と反タクシン派の政治抗争で投獄、訴追された人に包括的な恩赦を与える恩赦法案の成立を図る。10月、民主党が大規模な反政府デモを開始。12月、インラク首相が下院を解散。
■2014年
1月から反タクシン派デモ隊がバンコクの主要交差点を占拠。2月の議会下院選は民主党がボイコットした上、民主党系のデモ隊が投票を妨害し、3月に憲法裁が選挙無効の判決。5月7日、幹部官僚人事をめぐる職権乱用を理由に、憲法裁がインラク首相ら10閣僚を解任。5月20日、軍が戒厳令を布告し、実権を掌握。同22日、クーデターを宣言し、インラク政権崩壊。
《newsclip》

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