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2年空席のタイ大僧正、後任めぐりサンガと軍政対立

2016年3月14日(月) 00時40分(タイ時間)
大僧正代行(2014年撮影)の画像
大僧正代行(2014年撮影)
写真提供、タイ軍事政権
【タイ】2013年に100歳で死去したタイ仏教僧団(サンガ)の最高指導者、第19代大僧正(ソムデートプラサンカラート)の後任をめぐり、サンガ主流派とタイ軍事政権の対立が深まっている。

 軍政は腐敗がうわさされるサンガ上層部を改革するとともに、軍政と対立するタクシン元首相の仏教界への影響力排除を狙っているもようだ。

 サンガの「内閣」ともいうべきタイ・サンガ最高評議会は1月、大僧正代行を務めるソムデートプラマハーラチャマンカラージャーン僧(90)を次期大僧正に選出した。法的には、これを受け、首相が国王に承認を求め、国王が任命するという手順を踏むが、プラユット首相は3月に入っても、仏教界内部の対立を理由に、国王への奏上を拒否している。

 2月15日には大僧正代行支持派の僧侶数千人がタイ中部ナコンパトム県の仏教施設に集まり、軍政に対し、大僧正任命の手続きを遅滞なく進めるよう要求した。軍政は施設の入口に軍用トラックを置いて集会を阻止しようとし、僧侶数十人がトラックを押し退けようとして揺らすなど、一部でもみ合いが起きた。

 2月18日にはタイ法務省特捜局(DSI)が、大僧正代行が所有する1953年製のメルセデス・ベンツのクラシックカーについて記者会見を開き、不正な方法で税金逃れを図ったと指摘した。このクラシックカーは米国から中古部品として輸入され、2011年に大僧正代行が所有者として登録された。大僧正代行が住職を務めるパクナムパーシージャルーン寺で展示されていたが、3月7日、DSIが押収した。

 大僧正代行をめぐっては、タクシン元首相に近いとされる新興仏教団体タンマカーイ寺との関係も取り沙汰されている。

 大僧正は1999年、タンマカーイ寺の教祖、プラタマチャヨー僧が信者から寄付された2・4平方キロの土地や現金を自分名義にしていたことなどを問題視し、同僧を強制還俗させるべきと記した手紙をサンガ最高評議会に送った。しかし、大僧正はその後、体調を崩して指導力が発揮できなくなり、サンガ最高評議会は2006年、プラタマチャヨー僧が寄付された土地、現金の名義をタンマカーイ寺に変更したとして、この問題を不問に付した。タンマカーイ寺は2012年に、重量1トンの黄金像をパクナムパーシージャルーン寺に贈っている。

 2013年にはタンマカーイをめぐる新たなスキャンダルが発覚した。バンコクのクロンジャン信用協同組合の元理事長が在任中に信組の預金額のほとんどにあたる120億バーツ以上を横領した事件で、元理事長が横領した金10億バーツ以上をプラタマチャヨー僧らタンマカーイの僧侶と寺に寄付したことが判明。プラタマチャヨー僧は現在もDSIの取り調べを受けている。

 サンガ最高評議会は2015年に軍政傘下の議会、今年2月にはDSIに、大僧正の意思を尊重し、プラタマチャヨー僧を強制還俗させるよう要求されたが、いずれも却下している。

 タンマカーイは1970年代からバンコクの中間層、富裕層の間で急速に広がった。カリスマ的な教祖、バンコク郊外の巨大で前衛的な寺院、整然として視覚効果の高い儀式などで知られ、集金能力、資金力はタイの仏教寺院随一とされる。
《newsclip》

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