RSS

中国:「iPhone」上海工場が内部公開、5万人に顔認識システム

2016年4月28日(木) 13時32分(タイ時間)
【中国】米アップル「iPhone」の組み立て下請会社の和碩聯合科技(ペガトロン:4938/TW)はこのほど、秀沿路と申江路の交差点に位置する上海工場を海外メディアに公開した。

 顔認識システムによって同工場で働く5万人を一元管理。規定労働時間を超えた労働者を生産ラインに入れないなどの措置を講じて、違法残業を防止する取り組みを行っているとアピールした。

 労働環境の透明性を強調する狙いがある。アップルを巡っては2013年、製品製造を請け負うサプライヤーの中国工場で労働者の権利が著しく侵害されている――との疑惑が浮上。アップルが実態調査に乗り出す事態に発展した。過酷な労働条件を強いる「ブラック労働だ」などといった外界からの批判を踏まえ、工場内部の公開に踏み切ったとみられる。 上海工場で働く従業員は午前9時、工場入り口で顔認証と社員カード読み取りによるセキュリティチェックを受ける。タイムカードの役割も果たし、各人の週労働時間がチェックできる仕組み。既定の労働時間を超えると入り口の安全バーが上がらず、工場内に入ることはできない。

 セキュリティチェックを通った作業員らは、組み立てラインがあるフロアへと階段で移動する。踊り場付近の天井には、落下防止や自殺防止のためのネットが張られていた。

 9時20分、この日出勤した一部門の320人が朝礼で点呼される。各班長が「iPad」を使って社員証をスキャン。本人確認を行った後、彼らはそれぞれの持ち場に就く――。以上の流れが毎日繰り返されていた。

 同工場が導入した本人確認システムは、社員証と各作業員の個人管理データを連動させたもの。緊急時以外の残業時間や勤務時間、給料、宿舎費や食費などをカード1枚で管理できるようにした。

 同システムの導入によりペガトロンでは、エレクトロニクス業界団体の定める「月残業時間80時間以内」の規定を順守していると説明。アップルも中国サプライヤーの労働状況について、「週労働時間1人当たり60時間の規定達成率が2015年に97%に達した」と報告。前年比で5ポイント改善したことを明らかにしている。

 しかしながらペガトロンを巡っては、過酷労働の疑惑が完全に払しょくされたわけではない。中国の労働団体は同社について、「15年9月と10月だけでも1261人分の給与明細に時間と給料が一致しない矛盾があった」と指摘。「同社上海工場でも残業は日常茶飯事だ」との見解を表明した。同上海工場で働く出稼ぎ労働者も匿名で、「残業しなければ稼げない」と現状を語っている。さらに同社が新規導入した管理システムに関して専門家からは、「不正は可能」との声も上がる状況だ。

 一方、ペガトロン側は反論する立場。労働団体の指摘に対して、「(労働団体側の)計算方法に問題がある」と釈明したうえで、「当該期間は国慶節の休暇期間にあたり、休日出勤者に普段の3倍の給料を支払ったためだ」と補足した。

 アップルはこのほか、台湾鴻海精密工業(2317/TW)傘下の富士康科技集団(フォックスコン)に「iPhone」生産などを委託。台湾広達電脳(2382/TW)にはスマートウォッチ「Apple Watch」を生産させている。
《亜州IR株式会社》

特集



新着PR情報