難波 圭太郎 氏 (オーエム産業株式会社代表取締役社長)
* 本文中の社名は株式会社を省略
タイでも「提案・加工・管理・開発」の全てを提供
独自開発多数、日本トップクラスのめっき技術
――御社概要をお聞かせください
「日興電化工業」として1943年に創業(本社:岡山県)、戦時中は航空機や船舶の部品などへめっきしていました。終戦直前の岡山大空襲で社屋が全焼、戦後の復興でめっき業のみならずプレス、成形、塗装などといった自動車部品製造や建材の製造にも乗り出し、事業を拡大してきました。
1954年に「岡山メッキ工業」に社名変更、1970年にめっき部門を「オーエム産業」として分社化しました。自動車部品を製造していた「オーエム工業」は同業他社と合併し、現在は「アステア」となって海外では米国、中国、タイ、インドネシアに拠点を展開しています。ほか、子会社として表面処理専門の「シンセー」(石川県)、グループ会社としてオフィス関連、福祉関連、ホーム関連などの製品を製造販売している「オーエム機器」(岡山県)があります。
――タイ現法設立の経緯について
オーエム産業として以前より海外進出を検討、タイをはじめとする東南アジア諸国、中国、メキシコなどで事業化調査を続けてきました。その多くが、「進出先のめっき技術に不安を感じる」といったお客様のご要望を受けたものです。今回の現法設立は、計画を共にしたお客様のタイ進出が頓挫(とんざ)するなど紆余曲折を経ましたが、単独であっても十分な手応えを感じ、実現にこぎつけました。
タイ現法社名の「オカメ」は、岡山メッキを省略した弊社愛称です。地元ではその昔、タクシーに乗って「岡山メッキまで」と行き先を告げると「オカメさんですね」と返されるなど、愛称として親しまれていました。タイで社名を登記する際、発音しにくい親会社の社名よりは、オカメの方が明快と判断しました。
――御社のめっき技術について
めっき技術は航空、自動車、医療、家電など幅広い分野で活用されています。近年はナノテク世界を中心にめっき技術で「もの」を開発するに至っています。単なる表面処理にとどまらないのが、現在のめっき技術です。
技術進歩が目覚ましいめっき業界で、弊社もさまざまな技術を独自開発してきました。鉛フリーはんだめっきの「スズ リフローめっき」、環境に配慮した3価クロム化成処理を他社に先駆けて導入した「6価クロムフリー亜鉛めっき」、ナノ―ミクロンサイズのカーボン系・樹脂系および金属系微粒子の1粒1粒にめっきを行う「微粒子へのめっき」など、いくつもあります。経済産業省より委託・支援を受けた開発として、ウィスカ対策の「モノクリスタルスズめっき」や高い耐食性のめっき皮膜を持つ「マグネシウムへのめっき」といった技術も持ち合わせています。
タイでは珍しいリールトゥリール式めっき設備導入
――タイ現法としての業務は?
東部チョンブリ県アマタナコン工業団地に工場を構え、先月稼働に至りました。弊社が得意とするスズリフローめっき、モノクリスタルスズめっき、金・銀・銅めっきなどに高パフォーマンスを発揮するリールトゥリール式(フープ式)めっき設備を導入しています。タイではまだ珍しい弊社独自の設備です。例えばめっきと聞いてイメージしがちな水槽(プール)のような手動式の設備と比較して、10―20倍のスピードを誇ります。
日本では携帯電話端末やデジタルカメラなどの小型コネクタ(コード差込口)製造に伴うめっきが多くを占めますが、タイでは自動車関連部品が幅を占めてくるでしょう。お客様はやはり日系が多くなってくると思います。
――タイ経済の見通しについて
日本で伝え聞くタイ経済は悲観的ともいえますが、タイ当地での実感は異なります。景気は波であり「いずれ高まる」という期待値で、どの企業もそのときのための準備を進めています。
日本国内のみで事業を頑張ってきたメーカーもリーマン・ショック発生以降、海外進出やむなしとなりました。日本国内の製造拠点は低いレベルで安定させることが求められています。弊社も将来的ないかなる危機にも対応できるよう、海外拠点としてのタイ現法を大きくしていかなければなりません。
――売上目標など今後について
いろいろな縁に助けられてこぎつけたタイ現法の設立です。日系をはじめとする多くのメーカーのお役に立てるよう努力していきます。タイではまだまだ、日本では当たり前の品質管理を達成できず、お客様が安心して発注できるめっき業が少ないと聞きます。弊社はタイでもお客様と一緒に歩んでいけるめっきサービスを提供していきます。
売り上げとしては2020年をめどに年間2億円を目指します。
――ありがとうございました
Siam OKAME Co., LTD.
住所:Amata Nakorn Industrial Estate, 700/915 Moo 3, TambonNonggaka, AmphorPhantong, Chonburi 20160
電話:038-212-212 ファクス:038-212-213 Eメール:takamizawa@siam-okame.co.th (担当:高見沢)
ウェブサイト:http://www.siam-okame.co.th
〈タイ企業インタビュー〉 めっきサービス業 Siam OKAME Co., LTD.
2016年7月11日(月) 23時48分(タイ時間)
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