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~国産家具を世界へ!:3~中国・韓国市場は高級家具で勝負

2016年11月2日(水) 10時55分(タイ時間)
16年9月に中国・上海に進出した、飛騨産業のショールームの画像
16年9月に中国・上海に進出した、飛騨産業のショールーム
飛騨産業では16年4月、世界最大級の家具見本市「ミラノサローネ」にも出展したの画像
飛騨産業では16年4月、世界最大級の家具見本市「ミラノサローネ」にも出展した
飛騨木工連合会会長で、飛騨産業代表取締役社長の岡田贊三氏の画像
飛騨木工連合会会長で、飛騨産業代表取締役社長の岡田贊三氏
【記事のポイント】
▼日本の木製家具は、海外では高級家具の位置づけにある
▼中国の中間層の間で注目されているのが、日本家具の小型・軽量さ
▼欧米ではラージ&デラックスなアメリカより、ヨーロッパに商機が


■ターゲットは富裕層、脚物に活路が

 近年、国産の木製家具は大きな変革の時代へと突入した。住宅事情やライフスタイルの変化から大型で豪華な婚礼家具が減少する一方、中国やベトナムなどの安価な輸入家具と厳しい競争を強いられている。

 岐阜県高山市に本社を持つ飛騨産業代表取締役社長の岡田贊三氏によると、こうした現状を打破するために、木製家具業界では海外輸出の動きを活発化させているという。同社でも16年9月に中国・上海に常設店をオープンしたほか、欧米の国際見本市に出品するなど、海外市場への進出に注力している。

「業界内には『国内需要はもうこれ以上伸びがないのではないか』という閉塞感があり、その活路を国外に求めています。日本の木製家具は技術的にもデザイン的にも、国際競争に勝てる水準にあると自負しています」

 輸出の主力は“脚物(あしもの)”と呼ばれる、ダイニングテーブルやイス。箪笥や食器棚のような箱物は運賃が高くなるので、あまりメリットがないという。特に人気が高いのがイスで、「いちど使えば必ず良さを認識してもらえる」とのこと。同社では10年保証を行なっており、長く使い続けられる家具としてPRをしている。

 日本の木製家具は海外では高級家具の位置づけで、富裕層がターゲット。為替が円高で推移している昨今、現地の価格より割高感があるのは否めない。しかし、高品質な製品を好む客層は一定数おり、日本製のすばらしさを認めてもらっているようだ。世界的なデザイナーが日本の木製家具をリスペクトし、デザインしたいと申し出て来るケースがあるなど、プロからも高い評価を受けている。これについては、日本製は“高品質で安心”という、家具にとっては最も優れた特質を備えていることが大きな要因になっているようだ。

■需要堅調なアジア、インテリ層に一定のニーズ

 では、海外マーケットを国やエリア別に見ると、今後発展の可能性が大きいのは果たしてどこなのか?

「やはりアジアでしょう。中国、韓国、台湾は距離が近くて交流しやすいですから。9月に出店した上海は、当初の期待以上のスタートができています」

 膨大な人口を抱える中国には富裕層も多く、今後、日本の木製家具がマーケットを開拓する可能性は高い。また、最近の中国では経済状況が悪化する中、中間層においてコンパクトなマンションへの需要が高まっている。そこで小さめな日本の家具のニーズが出てきた。

「これまでの重い中国製から、日本製へ移行する例も増えてきました。日本への旅行経験があるインテリ層は、日本のライフスタイルに対する関心が高いようです」

 韓国や台湾でも日本製に対する信頼は厚く、伸長が期待できるという。価格面での競争力が問われる厳しさはあるが「中間層への購買も伸びており、ことにインテリ層は日本製を好んでいる」とのことだ。


■欧米では家具でもクール・ジャパンへのニーズは強い

 では、洋家具の本場であるヨーロッパではどうなのか。飛騨産業は16年4月、イタリアで開催された世界最大級の家具見本市「ミラノサローネ」に出展。スイスのデザイナーと共同開発したイスを展示した。販売店との利益率の問題もあり、製品化について具体的な話は進んでいないが、「まずは日本の家具を知ってもらうことが必要だと考えている」という。

「イタリアの木製家具には長い伝統があり、ミラノの見本市で認められないと世界では認められない。出展には大きな意義がある」

 先日、飛騨産業は福井県のマルイチセーリング、岐阜県のシラカワなど5つの事業者と提携し、共通ブランド「JAPANITURE(ジャパニチャー)-日出ずる国の家具-」を立ち上げた。16年10月にはアメリカ・ノースカロライナ州の見本市「ハイポイントマーケット」に出展し、アメリカへの販路拡大を目指している。

「アメリカでの反応はまずまず、といったところで、まだ先が読めません。大きくてデラックスな家具が主流のアメリカでは、一部の日本贔屓の人々に関心を持たれている段階。アメリカと比較すると、現状ではヨーロッパ市場の方が期待が持てます」

 ヨーロッパ市場ではイタリアや北欧の木製家具との競合も懸念される。しかし、日本政府が推進する“クール・ジャパン”政策に象徴されるように、“かっこいい日本”の家具に興味を持つ人々も多いようだ。アジアを始めヨーロッパでも“日本製はクールで高品質”という認識が浸透している。

 飛騨産業では近年、家具材に国産杉を使い、これまでにない質感を持つ商品の開発を進めている。最近では国産杉は林業の衰えと共に使われることが少なくなり、花粉症の原因として邪魔な存在のように扱われていたが、これを再び見直そうという画期的な試みだ。

「イスは何のためにあるのかという原点を忘れてはならない。座り心地の良さと質感に加え、優れたデザイン性を備えた商品開発を行ない、さらにコストダウンを目指していく」

 海外との競争力を高める優れた商品を開発。それが求められる市場を選んで投入していくグローバル戦略が今、木製家具業界に求められている。日本の木製家具が高級家具の位置付けにあるなら、必然的にターゲットは絞られるだろう。重要なのは中国の中間層における小型で軽い家具へのニーズに見るように、その家具がどの国のライフスタイルにマッチするかだ。家具に付加価値を追求する上で、それは忘れてはいけない要素になりそうだ。
《斉藤裕子/HANJO HANJO編集部》


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