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【川崎大輔の流通大陸】日本の整備士不足を救うか、ベトナムで育つ「人財」

2017年2月7日(火) 11時01分(タイ時間)
自動車整備学校の画像
自動車整備学校
《撮影 川崎大輔》
日本語教室ICCの画像
日本語教室ICC
《撮影 川崎大輔》
ニャン氏(左側)の画像
ニャン氏(左側)
《撮影 川崎大輔》
自動車整備工場の画像
自動車整備工場
《撮影 川崎大輔》
職業訓練学校の画像
職業訓練学校
《撮影 川崎大輔》
5Sの画像
5S
《撮影 川崎大輔》
市内の画像
市内
《撮影 川崎大輔》
自動車整備の画像
自動車整備
《撮影 川崎大輔》
ICCグループは、ベトナム人技術者紹介、及び技能実習制度を通じて、日本の企業にベトナム人を紹介している。ICCグループのホーチミン代表であるチュォン・タン・ニャン氏(Trouong Thanh Nhan)にベトナムの人材事情について話を聞いた。


◆外国人技能実習制度へ自動車整備職種が追加

2016年4月1日より外国人技能実習生制度において「自動車整備」が職種に追加された。これによってベトナム人の自動車整備関連への雇用機会が拡大した。

ベトナムにおいて自動車整備は大きな意味を持つ。ベトナム自動車工業会の発表によると2015年の新車販売台数は24万4914台であった。前年比で55.1%の大幅な伸びを記録し市場が急拡大している。ベトナム国内の景気回復や道路インフラの改善、銀行の自動車ローンの強化などが増加の背景にある。

2014年におけるベトナムのハノイとホーチミンの1人あたりGDPはそれぞれ3348ドル、4986ドルとなっている。これはモータリゼーションが始まるとされている3000ドルの水準を既に超えている。政策の急な変化がない限りベトナムの自動車市場はこのまま更に拡大を続けるだろう。

市場の拡大に伴って自動車整備技術、技能の需要は増えていく。これからのベトナムの産業を担っていく上でも重要な職種であるといえる。


◆目指しているのは循環型の人材システム

ICCグループはベトナムのホーチミン、ハノイだけでなく、東京と名古屋にも駐在事務所を有し日本人が常駐している。技能実習生制度だけでなく、日本語能力を持つベトナム人技術者の紹介にも力をいれている。ニャン氏は「日本で働いた後、本国に帰ってきたベトナム人をベトナムでの日系企業に紹介していきたい」という。日本の企業で学んだ技術を母国の発展にいかせるように日系企業への就労支援などを提案している。

そのためベトナムでの日本語の教育には力をいれている。ICCグループの日本語学校は1クラス25名ほどだ。入学前のテストに合格しないと日本語教育プログラムを受けられない。基本的な日本語コミュニケーションと専門分野(機械、農業、建設、食品など)の日本語に分けられている。最初の3日月は日本の生活で使う簡単な日本語を学ぶ。その後、日本での業務で使う専門用語の授業が行われる。

クラスでは、授業の30%ほどを日本語教師が話をする時間にあて、残りの70%は生徒が日本語で話をする。チームを作りテーマを与えて自ら会話をしていく。「寮では日本語を使って生活をするように伝えている」とニャン氏はいう。日本語能力は短期間で高まりそうだ。


◆日本語の勉強が嫌いなベトナム人

ICCグループの日本語学校の授業料は無料だ。ホーチミンでは唯一と聞いた。日本の企業に雇用された時に、日本側の企業が授業料を支払う形にしている。そのため質の高い教育を行い、企業が求める日本語レベルにまでしっかりと教育していくことが重要となる。

一方で、ベトナム人の課題を尋ねると「日本にいきたいといっているにもかかわらず、日本語の勉強がベトナム人は嫌い」とニャン氏は指摘する。日本にいくには日本語が必要だ。日本語ができなければ技術や技能、知識も学ぶことができず将来何も残らない。このようにしっかりとベトナム人に説明をしているという。教育が一番大事であり、しっかりと重要性を理解させることが課題となっているようだ。


◆ベトナム人整備人材への取り組み

「ベトナムには多くの学校があり、年間で1万人近くの技術者候補がいるのではないか」とニャン氏はいう。しかしながら学校を卒業しても3割くらいは仕事があるが、それ以外は仕事がない状況である。ベトナムでは専門を持っていても仕事がない状況が続いている。年齢が若く、技術が高く、人口も多いという利点を持っているのがベトナム人技術者の特徴だ。しかし、言語や文化の違いが大きな障壁となっていた。

ICCグループでは整備人材への取り組みを始め、最近、高度技術者として日本企業に整備人材を3名紹介した。ベトナムでの有名な大学を卒業した技術者を募集し、日本語の教育を行った。「今後、大学と短大とのアライアンスを強化して整備人材にも力をいれていきたい」とニャン氏はいう。

人材が不足する日本の整備業界にとって、ベトナム人自動車整備人材の存在は業界を救う可能性がある。一方で短期的な解決策となってしまっては意味がない。ニャン氏がいうようにベトナムに帰国してからも活躍できるような循環型の人材システムを作り「人財」へと変えていくことが大事だ。

<川崎大輔 プロフィール>
大手中古車販売会社の海外事業部でインド、タイの自動車事業立ち上げを担当。2015年半ばより「日本とアジアの架け橋代行人」として、Asean Plus Consulting LLCにてアセアン諸国に進出をしたい日系自動車企業様の海外進出サポートを行う。アジア各国の市場に精通している。経済学修士、MBA、京都大学大学院経済研究科東アジア経済研究センター外部研究員。
《川崎 大輔@レスポンス》


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