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【川崎大輔の流通大陸】整備の現場で活きる「外国人人材」の可能性

2017年4月4日(火) 22時31分(タイ時間)
日本語を学ぶ学生たちの画像
日本語を学ぶ学生たち
《撮影 川崎大輔》
古橋氏(左)の画像
古橋氏(左)
《撮影 川崎大輔》
面接室の画像
面接室
《撮影 川崎大輔》
トレーニング(縫製)の画像
トレーニング(縫製)
《撮影 川崎大輔》
トレーニングセンターの画像
トレーニングセンター
《撮影 川崎大輔》
職業トレーニングの画像
職業トレーニング
《撮影 川崎大輔》
勉強中の生徒たちの画像
勉強中の生徒たち
《撮影 川崎大輔》
YWA Human Resource(以下、YWA)は、日本を含め世界各国に年間5000人単位でフィリピン人労働者を送り出し、日本向けの技能実習生として年間100人以上を送り出している。日本側のパートナーである常務取締役の古橋裕行氏にフィリピンにおける送り出し機関の現状と展望について話を聞いた。

◆外国人技能実習制度へ自動車整備職種が追加

2016年4月1日より外国人技能実習生制度において「自動車整備」が職種に追加され、3年間の実習が可能となった。これは発展途上国の外国人を日本で一定期間受け入れてOJTを通じて技術や技能、知識の移転をはかる制度である。その国の経済発展を担う人材育成を目的としたもので、日本の国際協力の重要な一翼を担っている。

フィリピンにおいて自動車整備はとても大きな意味を持つ。2016年のフィリピンの新車総販売台数は、前年比24.6%増の36万台に達した。アセアン諸国でもっとも成長率の高い国だ。中でも日系メーカーのシェアは高く、全体の約75%となっている。

◆ 世界50か国を超える国に5000人以上の労働者送り出し

YWAは創立以来、専らフィリピン人労働者を海外に派遣することをビジネスの主体としていた。しかし、日本における労働不足や外国人労働者の受け入れの現状を見て、2014年9月から「技能実習制度」によるフィリピン人技能実習生の日本派遣ビジネスに参入した。メインは海外への外国人労働者(主に建設業)だが、日本への技能実習生も全体の10%ほどへと成長している。

特色として、毎年世界50か国を超える国に5000人以上の労働者を送り出している実績からもわかるように、多種多様な業種から人材データベースを保有していることだ。

またもう1つの大きな特徴として、会社に研修実習施設が併設されていることだ。オフィスのすぐ横にある建物の中では、溶接や旋盤などの訓練エリアがある。更に、日本語研修が行える教室も10部屋併設され、技能実習生にい技能と知識が効率的に身につくような体制を整えている。

◆他のフィリピン技能実習生送り出し機関との差別化

現在フィリピンには、認定送り出し機関が107機関存在する。JITCOのデータによれば半分くらいは何かしらの日本への送り出しに関わりがあるようだ。フィリピンでは日本語教室を併設しているところはまだ多くない。日本語を教える教室、そして教師の確保が課題となっている。

そのような中で、YWAの差別化は、ワンストップで人材募集、選考会、日本語教育、複雑な書類作成を一括して行える点にある。更に、技能実習生の質にも自信を持っている。日本側の希望人材人数が3名という場合は3倍の9名の応募者を用意するが、9名は既にYWAによって書類と面接でプレスクリーニングをかけている。

もっとも怖いのが研修中の途中帰国などである。そのため、日本で働く上での動機と覚悟を何度も募集してきた人材に対し再確認を行う。また、受け入れ先企業との雇用条件の話し合いにも余念がない。日本語研修の教育の場でも何度も確認する。企業によっては日本へ行く前にもう1度フィリピンを訪問してもらい、家族と3者面談をする。面談では問題解決、実習生の不満を取り除くようにしているという。

◆送り出し機関としての現在の課題

しかし、大きな課題として以下の4つが挙げられるという。

1つ目が「不公平感」だ。SNSの普及によって、お互いの受け入れ企業での情報が筒抜けになってしまい、残業代や忘年会、お花見などの行事関連などを比べて不公平さを感じてしまうケースが多いのだという。

2つ目は、他国の送り出し機関との競合だ。フィリピンでは法律的に技能実習生からはお金が取れないため、金銭的に太刀打ちができない。いっぽうで、技能実習生は借金ゼロで日本へ行けるという。例えばベトナムや中国などは日本へ行く前に何かしらの管理費を送り先企業へ渡している場合が多いと聞く。

3つ目は、合格後の健康診断。実習生は貧しいため、100ペソ(50円)の小額でもセーブしたい。面接して選考した後に健康診断で不適格(結核の跡など)になる場合がある。健康診断は3000ペソ(1500円)と実習生にとっては大金だ。そのため、面談の合否前に支払うには大きなリスクがある。受け入れ企業からは面談前に健康診断をやってほしいという希望は多い。

最後に日本語の能力の問題だ。入国時にN5レベルで入国する。「です」「ます」調で日本語を習っているため建設業などで、「これをもってこい!」などというのは聞き取りづらい。余りに何回も「何ですか?」とは聞けないため、理解していなくても「ハイ」と答えてしまい、問題になるケースがある。

◆これからの展望

フィリピン人材について古橋氏は「日本は若い労働者が欲しい。一方でフィリピンは働きたい若い労働者が豊富。陽気で適応力を持ってよく働く。仕送りをする国民性が強く非常に義務感と使命感がある。整備の可能性についても、汗まみれでもへこたれない忍耐力を持っている」という。今後はリピーターを大切にしていきたいと古橋氏は考えているそうだ。

既に新規開拓をしてフィリピン人の良さを理解できてきた日系企業に対して、更に良いサポートを提供していくのが今後の方向性だ。

技能実習の期間を最長3年から5年に延長する外国人技能実習制度の適正実施法案が日本で可決され、来年には開始される見通しとなっている。日本の整備業界では人材不足に悩んでいる。技能実習制度の重要性が今以上に増すことになるだろう。

日本で整備の技術や技能、知識を学んだ人材が、フィリピンに帰国してからも活躍できるような受け入れ先を構築していくことは大切だ。それらを視野にいれながら、フィリピン人材との長期的なアライアンスを組める仕組みを整えていくことが今の日本の整備会社の行方を左右するといっても過言ではない。そのようなグローバルな取り組みがフィリピン人に限らず外国人人材を活用していく企業にとって重要な課題になるだろう。

<川崎大輔 プロフィール>
大手中古車販売会社の海外事業部でインド、タイの自動車事業立ち上げを担当。2015年半ばより「日本とアジアの架け橋代行人」として、Asean Plus Consulting LLCにてアセアン諸国に進出をしたい日系自動車企業様の海外進出サポートを行う。アジア各国の市場に精通している。経済学修士、MBA、京都大学大学院経済研究科東アジア経済研究センター外部研究員。
《川崎 大輔@レスポンス》


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